物価高の主因のひとつはエネルギーコストではないでしょうか。日本は約100兆円のエネルギーを輸入しています。エネルギーはガゾリン、電気など全ての活動の大元。その大元が価格高騰や円安で値上がりすれば、全ての価格が高くなる。これが物価高の主要原因のひとつです。
ええ、円安の影響も大きく入ってきますが、ご指摘の通り、エネルギーの高騰はインフレの主因の一つです。継続的にインフレが続いている局面で、給付金や減税はすぐに値上がりに追いつかなくなりますから、インフレ対策には、エネルギーの高騰を抑えるなど、物価高の原因を一つ一つ断って行くことが重要です。日本のエネルギー自給率は13%と低く、円安是正と併せて、エネルギーの海外依存を減らすことが必要です。
先程、物価高対策として給付金を配っても値上がりに追いつかなくなるという話が出ましたが、さらに給付金の財源が国債発行であれば、更なるインフレや円安を招き、結果的に物価高を悪化させることにもなりますよね?
そうです。国債を完全に市場で消化できればいいですが、金利高騰を避けるたに日銀が国債を購入すれば通貨供給が増え、インフレを加速させる恐れがあります。
これは脱水症状の人に海水を飲ませるようなもので、短期的には効果があっても長期的には却って悪影響を及ぼします。
国家予算約115兆円の国で、現在でも国債費は28兆にもなっています。金利の上昇は、利払費の負担も跳ね上がります。
大規模な減税を主張する政治家も増えました。減税は聞こえがいい魅力的な政策です。しかし、これまでアベノミクスを批判しながら結局は国債発行を増やす同じ政策を提案するのは矛盾しています。
はい。予算は絶対に「歳入=歳出」にしなければなりません。減税すれば必ず歳入が減りますので、これに対応するには①歳入に合わせる為に歳出を削減する、②歳出に合わせる為に、国債を増発して歳入を補填、のどちらかをやらなければなりません。
ところが減税を主張する政治家の多くは、①の歳出削減、②の国債増発のどちらのデメリットも説明していません。それは余りに不誠実です。
歳出を削減しなくてよかったり、国債を増発して円安やインフレや物価高を招かないでよかったりする「減税」なら私たちも賛成なのですが…。
amazonやFacebookなどの海外IT企業が日本で利益を上げながら、十分な税金を納めていない問題があります。日本のデジタル赤字は6.5兆円(2024)です。
日本のデジタル経済が遅れた要因は「言語の壁」と「内向き文化」です。この30年間、インターネットとIT技術の進歩で、巨大な世界市場が出現したのですが、それは、英語圏、英語文化で構成されていました。日本はこの世界市場に決定的に乗り遅れた。iモードも世界展開出来ずに競争力を失いました。AIを活用した英語教育を推進し、バイリンガル化を進め、世界に打って出れる文化を醸成するべきです。また、ヨーロッパのようにGAFAM(IT企業)への課税制度を導入すべきです。
私たちは、短期的な人気取りではなく、長期的な視点で持続可能な政策を進めたいと考えています。5年先、10年先を見据え、責任ある政治を行うことが重要です。
日本は財政危機が迫っているにもかかわらず、危機感が不足しています。未来を守るためには、目先の減税ではなく、エネルギーの自給率向上、デジタル産業の強化、教育改革などの根本的な政策が必要です。
今日は不人気のテーマにも関わらず、対談を受けてくれてありがとうございました。