RAA実施法・国民が安心できる環境づくりを ~外交防衛委員会~

去る4月15日に外交防衛委員会が行われました。

塩村は大阪関西万博におけるパレスチナの展示物遅着問題と円滑化協定(RAA)実施法案について、岩屋毅外務大臣、中谷元防衛大臣らと質疑しました。

▶動画はこちらから◀
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=8448
塩村あやかの質問は「 1: 41: 35」ごろからです。

当日の質疑の内容は以下の通りです。

 

【万博での展示物遅着問題】

4月13日に開幕した大阪関西万博ですが、パレスチナの出展物が届いておらず、展示ブースが空のままであるとの報道がなされています。
外務省はこの事実を把握していたのでしょうか。また、パレスチナ側から相談などはあったのでしょうか。 

塩村:パレスチナの展示物の到着が遅れがあった件で、基本的に万博の主管は経産省であるとは分かっていますが、外務大臣に、この事実を把握しているか、お伺いをさせていただきます。

岩屋外務大臣:パレスチナ館における展示品の一部の到着が遅れているという報道があることは承知をしている。

塩村:日本国政府に、遅れるであるとか、少し助けが欲しいであるとか、何か相談はあったのでしょうか。

岩屋外務大臣:一義的には万博協会で対応を行っていると承知している。何か具体的に外務省の方に相談があったわけではないが、もし相談があった場合、何か提供できる便宜があればこれを提供し、万博の成功に向けて万全を期したいと考えている。

塩村:報道によると、経由地のイスラエルで許可が下りず止まってしまっており、空輸に切り替えているが間に合っていないとのことでした。なるべく早く到着し、万博が皆さんに楽しんでもらえるものになるように、しっかり応援をしていただきたいと思っております。

 

【RAA実施法案について】

協力関係にある2国間で、兵力や物品を円滑に移動できるようにするためのRAA(円滑化協定)。
日本はすでに英国、オーストラリアとRAAを締結しており、フィリピンとは署名済みでフランスとも協議の開始で合意。
わが国をとりまく安全保障環境が厳しさを増す中で、今後もさらに多くの国との締結が予想されます。
それを踏まえてこのほど、国民への分かりやすさとRAAの的確な実施を確保することを目的として、これまで相手国毎に定めていた諸法律を統合するRAA実施法が国会に提出されました。
国民の生命と財産の安全に関わる同法の、いくつかの懸念事項について質問を行いました。

塩村:これまで日英間、日豪間で個別にRAAの実施法を立法してきたわけですが、当初から一般法化は想定されていたのいたのでしょうか。

政府参考人(防衛省):その時点で一般法化をしよう、共通規定化をしようということではなかった。

塩村:本法案が成立すれば、新たな国との締結時に衆議院の安全保障委員会での質疑機会が失われると認識している。政府は条約締結後、速やかに衆議院安全保障委員会に報告すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(防衛省):防衛省としては、新たに円滑化協定が締結されることとなった場合には、御質問などに応じて国会での御説明に努めてまいりたいと現時点では考えている。

塩村:RAAにおける「防衛協力」には人道支援や災害救助訓練も含まれているということでよろしいでしょうか。

政府参考人(防衛省):共同訓練であるとかあるいは災害救助活動というのは、この協力活動の典型例として捉えている。

塩村:では、双方どちらかの被災時に同意をすれば本法案の適用となり、災害救助がしやすくなると捉えても良いのか、お伺いをしたいと思います。

政府参考人(防衛省):災害救助という活動が、例えば日本に対してある締約国について行われる、締約国により行われる場合にはその活動が円滑化される。

塩村:道路運送法及び道路運送車両法の適用を除外するとの内容を含んでいますが、懸念されていることは何もないのか、それに対して対策は考えられているのかなど、あれば教えてください。

政府参考人(防衛省):相手国の軍隊が我が国に公用車両を持ち込む場合には、事前にその相手国と適切に協議を行い、我が国として必要な経路の指定や移動の制限を課すことで、そういった懸念が実際に現れないようにしていく。

中谷防衛大臣:活動の内容については、事前に両締約国の法律の定める範囲でその都度各国が判断して相互に決定する、となっているので、事前に話し合いが行われるということである。

塩村:逮捕された締約国軍隊の構成員等の被疑者を締約国の軍隊に引き渡さなければならないと定められていますが、それは公務執行から生じた罪に明らかに該当すると認められたとき、とされています。公務内、公務外は明確に線引きできるのか疑問があります。基本的には上官の指示がその一つの指標になるとのことですが、日本と締約国の認識に相違があった場合はいかに解決をしていくのか。例えば職務外で、皆さんで宴会をするためのお酒を、上官の指示で購入しに行くときに交通事故を起こしてしまったとか、上官の指示自体が公務ではない場合はどうなってしまうのか、お答えいただけますでしょうか。

政府参考人(防衛省):いま質問のあったような事項は、職務に即して行われる上官たる者から部下たる者に与えられる指示とは異なるかと思う。

塩村:特殊海事損害については適用除外ということですが、それはなぜか、お伺いしたいと思います。

政府参考人(防衛省):被害額が巨額になり、法律関係も複雑で、その処理に際して専門的な知識が必要となることから、その他の損害とは別途の扱いとすることが妥当であるとしている。ただ防衛省としては、この法案の規定により、特殊海事損害を被った日本国民などに対し被害者救済の観点から請求のあっせんなど必要な援助を行うこととなる。

塩村:額によっては国が補償し、それ以外のときには国がしっかりとあっせんをして被害者の方を救っていく、ということでよろしいでしょうか。

政府参考人(防衛省):さようである。

塩村:特殊海事損害の中に航空機の事故は含まれるのか、お伺いしたいと思います。

政府参考人(防衛省):一般には、航空機の事故はこの特殊海事損害に含まれないと認識している。

中谷防衛大臣:こういった損害等については、双方の国で協議をした上で、協定に従って支払われることになるかと思う。

塩村:2023年に、自衛隊が人道支援・災害救援活動のためにフィリピンを訪問する際の手続を簡素化する取り決め=TORが署名されていて、内容的に重複する部分もあるかと思います。本法案の附則では日豪および日英のRAAの廃止が明記されていますが、TORは廃止されないという認識でよろしいでしょうか。

政府参考人(防衛省):残すことになる。

塩村:防衛省と自衛隊は「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」のビジョンを踏まえて様々な交流を行っていますが、防衛面だけではなくて外交面も戦略的に連携をして、バイやマルチでしっかり組み合わせ、様々な抑止につなげていくことが必要だと思っております。どのように防衛省と連携をして外交を行っていくのか、外務大臣にお伺いしたいと思います。

岩屋外務大臣:FOIPを実現していくためにも同盟国、同志国との協力関係を更に強化していくことが必要と思っており、日米豪印、クアッド、日米韓、日米フィリピンを始め、実践的な協力を進めていく。外交と防衛は国の根幹を成すものであり、言わば車の両輪であるので、こういった観点から、防衛省をはじめとする関係省庁と引き続き緊密に連携して、重層的なネットワークを構築していきたいと考えている。

塩村:フィリピンは親日国で、アンケートに対し、99%の人たちが日本を大好き、好きと回答していますが、中国が同国で橋の建設や護岸工事などの「目に見える支援」に乗り出しています。日本もODAを含め、様々な連携を行って外交、そして防衛に取り組む必要があると思いますが。

岩屋外務大臣:フィリピンは言うまでもなく共に海洋国家であり、基本的な価値と原則を共有しており、あらゆる意味で戦略的なパートナーである。先般、フィリピンのマナロ外相との間で海上保安能力の向上、洪水対策を含むインフラ整備、気候変動対策、情報通信といった幅広い分野で協力を進めていくことを確認してきた。このような認識に基づき、ODAを戦略的に活用してフィリピンとの二国間関係をこれからも強化していきたいと考えている。

塩村:本当に、外交と防衛というのは両輪であると思っています。国民の皆さんが安心できるような環境をつくっていただくよう、お願いを申し上げまして質疑を終わります。ありがとうございました。

 

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