去る5月8日に外交防衛委員会が行われました。
塩村は「ひめゆりの塔」を自民議員の発言や、石破総理のフィリピン訪問、日本とチェコおよびルクセンブルクとの間の航空協定について、岩屋毅外務大臣らと質疑しました。
▶動画はこちらから◀
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=8496
塩村の出番は「 01: 23: 55」ごろからです。
当日の質疑の内容は以下の通りです。
【「ひめゆりの塔」めぐる自民議員発言】
沖縄戦で犠牲になった学徒隊の生徒らを慰霊する「ひめゆりの塔」(沖縄県糸満市)の展示内容について、自民党の西田昌司参院議員が「歴史の書き換え」などと発言したことが批判を呼び起こしています。(5月9日に発言を撤回、謝罪)
この問題に関し、政府の一員として岩屋外務大臣はどう考えているのでしょうか。
(2023年7月、ひめゆりの塔訪問時の塩村あやか)
塩村:西田議員の発言について、私からも一言苦言を申し上げておきたいと思います。国会議員として、全員が許してはならないと思いますし、謝罪と撤回はしっかりやっていただきたいと考えます。ここには与党の先生もいらっしゃいますし、日本が海外から信用を失いかねないので、是非党内でも頑張っていただきたいと思います。そこで、大変申し訳ございません、この発言について、政府の一員として大臣はどうお思いになるのか、教えていただきたいと思います。
岩屋外務大臣:報道については承知をしているが、議員の発言の中身の詳細を承知しているわけではなく、政府の立場から立法府の議員の発言についてコメントすることは差し控えたい。いずれにしても、国会議員としての発言が様々な反響を呼び、また疑問を持たれているということであれば、御当人においてしっかりと説明を尽くしていただくことが必要と考えている。
塩村:色々な感想や考えがあるのは良いと思いますが、事実と異なっているのはまずいと考えますし、今年は戦後80年というタイミングでの発言です。私は強く抗議を申し上げたいと思っておりますし、国会議員全員でしっかりと対応しなくてはいけない。特に与党自民党さんには頑張っていただきたく、お願い申し上げたいと思います。
【総理の外遊について】
去る4月29日、フィリピンを訪問した石破茂総理大臣とフィリピン残留日系人2世の方々との対面が実現しました(関連記事)。
その際の過程について、外務大臣から説明を受けました。
塩村:私が取り組んでおりますフィリピン残留日系人2世の問題に関し、当事者と会っていただいたとの報告を受けております。本当にありがとうございました。簡潔に分かりやすく教えてください。
岩屋外務大臣:総理は4月29日にマニラにおいてフィリピン残留日系人3名の方と懇談し、残留日系人の方々からは、自身らの生い立ちや経験、また日本に対する強い思いについて言及があったと、また、総理と会うことで祖国とのつながりを感じたとの感謝の気持ちを述べられたと承知をしている。総理は、長年にわたる困難と御苦労について言及した上で、地域で絆を育んだことに敬意を表し、日系人の方々の一日も早い国籍取得や一時帰国が実現するよう政府として取り組んでいきたいとの発言を行った。今後とも、この思いにお応えできるよう、可能な限り努力をしていきたいと考えている。
塩村:予算委員会(3月5日)で是非会っていただきたいとお願いしたところ、早速実現していただき本当に感謝を申し上げます。一方で、もう本当に時間がなく、かつて4000人ぐらいいた国籍回復を希望する方々が、もう49人にまで減っているということで、健康の問題もありますし、とにかく早く国籍取得や一時帰国が実現するよう努力していただきたいとお願い申し上げます。
【日本・チェコおよび日本・ルクセンブルク間の航空協定について】
対米貿易の落ち込みが懸念される中、中国は航空貨物の分野でもハブ化へ向けた整備を進め、覇権を握ろうとしています。
今回の2協定の相手国のうち、ルクセンブルクに関しては中国の「一帯一路」構想に参加しているという「両睨み」の状況です。
日本の取るべき道は、一体どこにあるのでしょうか?
塩村:2024年に日本発着の航空貨物便の運賃が上昇した主要な要因はどこにあると分析しているのか、お伺いしたいと思います。
政府参考人(国土交通省):インターネット取引によるアジア発北米向けの貨物が好調で、特に貨物量の多い中国発北米向けの貨物については直接の2国間の輸送に限らず、第三国である日本を経由した輸送が増えており、本邦発の北米向け運賃が上昇していると認識している。
塩村:中国系の格安EC(電子商取引)貨物の欧米向け需要が大幅に増え、日本線の航空貨物のスペースが利用され、その後も日本が貨物用のスペースを買い負けるという事態に陥っているとの資料があります。今後、例えば緊急輸送需要が発生したときに機動的に対応できるのかできないのか、教えてください。
政府参考人(国土交通省):相対的に安価となる長期契約でスペースをまず確保しつつ、機動的な対応が必要な場合はスポット契約というものを活用している。他方、本邦の航空運送事業者においても、昨今のアジア発北米向けの貨物が好調であるという状況を踏まえ、2023年度末から国際貨物専用機の輸送を再開したり、国際航空貨物事業の拡大に向けて調整を行うなど、貨物輸送力の強化に向けて取り組ませていただいている。
塩村:2023年は輸出が低調で、航空各社は、アジアのほかの空港も経由して、そこから荷物を載せるという輸出の需要を取り込んで運航していました。
こうした点から考えると、今回、アメリカの関税措置によって対米輸出入が減退した場合に、アメリカ経由の路線が中国経由に取って代わられることも起るのではないかと考えます。中国はこの状況を好機として捉え、航空貨物における覇権を握ろうとしているのではないかと思うのですが、見解をお伺いします。
岩屋外務大臣:航空便の運航は基本的に民間航空会社の経営判断によって行われていると理解をしている。その上で、この日・ルクセンブルクの経済関係は他国の動向とは関係なく着実に進展させていくことが重要だと考えており、本協定によって定期航空業務の安定的な運営が可能となると、経営判断の見通しがより立ちやすくなり、両国の経済関係の深化につながっていくことが期待される。
塩村:中国は湖北省にアジア初の貨物ハブ空港が既に存在し、就航路線は欧米、アフリカなど一帯一路参加国を含む28か国・地域へ向けて42路線あるとされます。2050年には貨物の取扱量を900万トン規模に拡大する計画であり、実現すれば世界最大の貨物空港となります。ルクセンブルクは2019年に一帯一路に参加し、2024年3月に一帯一路に関する了解覚書が自動更新されています。今後、中国の貨物輸送ハブ空港が更に発展した場合、ルクセンブルクの貨物便が日本に立ち寄る必要性が薄れ、日本ではなく中国を経由地や目的地にして、日本路線から撤退をするという懸念はないのでしょうか。今回の航空協定締結はこうした懸念を払拭して定期航空路線の安定性確保に資することになるのか、政府内で議論されているのか、御答弁いただきたいと思います。
岩屋外務大臣:ルクセンブルクは欧州の物流の要衝であり、中国の一帯一路構想に参画してきたことは承知しているが、我が方は我が方として経済関係を強化させていくことが必要だと思っている。先般首脳会談もなされ、金融、航空宇宙、スタートアップ、製造業等を中心に幅広く経済関係を強化していくということで一致を見ているので、今般の航空協定の締結もそれに資するものになっていくと考えている。
塩村:国は2030年の訪日客6000万人を目標に置いていますが、メリットだけでなくデメリットをどう考えているのでしょうか。羽田への低空飛行の固定化の問題もあり、私の懸念を払拭する答弁をお願いいたします。
政府参考人(観光庁):インバウンドは我が国の経済に対し大きな効果を与えていると認識している。一方、観光地では一部の地域や時間帯において混雑やマナー違反による地域住民への生活の影響などの懸念が生じていることも承知しており、混雑の解消とともに、より多くの観光客に地方を訪れてもらう取組が重要である。円安等々の課題はあるが、こういった取組の強化によって効果を全国に広める対策が必要と認識している。羽田空港における新飛行経路については、航空局において騒音、落下物対策を実施するとともに、新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会を立ち上げており、固定化回避と騒音軽減のための方策について幅広く検討をしている。観光庁としても、航空局と連携し、引き続き取り組んでいきたいと考えている。
塩村:引き続き議論をさせていただきたいと申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。