去る5月15日に外交防衛委員会が行われました。
塩村は防衛省設置法等の一部を改正する法律案と、そこから派生して就職氷河期問題や年金制度改革関連法案、海上保安官ほか各種の公安職公務員や消防団の待遇などについて質疑を行いました。
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https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=8522
塩村の出番は「 1: 00: 17 」ごろからです。
当日の質疑の内容は以下の通りです。
塩村:まず、今朝ご報告ありました航空自衛隊のT4練習機の事故に関しまして、現在、捜索救難活動に全力を挙げて取り組んでいただいているということでございました。 引き続き、しっかりと捜索を進めていただけますようお願いいたしますと同時に、ご家族のケアの方もお願いを申し上げたいと思います。
それでは、日々危険な訓練など行いつつ国防に当たっていただいている自衛隊の皆様に感謝の気持ちを込めながら、今回の法案の質疑に入らせていただきたいと思います。最初に、人的基盤の抜本的強化の方から質疑に入らせていただきたいと思います。自衛官の処遇改善に関してですが、本法律案では航空管制官手当の新設など、配置手当や特殊勤務手当といった一定の業務や職種に着目したものの改定がほとんどであると理解しております。恩恵を受ける自衛官もいれば、あまりない自衛官もいるのではないか、その辺りの見解と、今後の取り組みについて聞かせていただきたいと思います。
政府参考人(防衛省):基本方針においては、全自衛官に適用されている自衛官俸給表を改定をするものとしている。具体的には、自衛官の任務や勤務環境の特殊性に見合った給与とするため、勤務実態調査の結果や、公平性、公正性を確保するための部外の専門家の意見を踏まえ、また諸外国の状況も見ながら、令和十年度の改定を目指すこととしている。このように、いずれの自衛官に対してもしっかりと目配りを行い、自衛官という職業が、処遇改善によってより魅力的なものとなるようしっかりと取り組んでいく。
塩村:いわゆる就職氷河期世代の隊員に関して、待遇の底上げが他の世代と比較しても不十分ではないでしょうか。
政府参考人(防衛省):今回の手当の新設や金額の引上げは当然就職氷河期世代の自衛官も対象となっており、手当によっては現在の階級、号俸に連動して支給されるものもある。この処遇改善が当然氷河期世代の現役自衛官も対象になっていると考えている。
塩村:氷河期世代に関しては、いまちょうど年金の話題(編注・翌5月16日に国会提出された年金制度改革関連法案に関して)が出ておりまして。(自身宛てのねんきん定期便の通知はがきを掲げながら)私は基礎年金だけなので、これまでの加入実績に応じた年金額は年間42万7000円程度で、月割りだと3~4万円にしかならないわけです。これでどうやって氷河期世代は暮らしていけるのかと。明日提出の法案ですが、厚生年金と基礎年金の調整の期間の一致という目玉の部分がすぽっと抜けてしまって「目玉のない目玉焼き」とか「あんのないあんパン」などと言われています。私たちは、やはり就職氷河期世代の年金の底上げの皆さんに呼びかけていきたいと思います。修正案を出して、みんなで就職氷河期の未来を守っていかなければならないと思っておりますので、与党の皆さんにも是非修正案を一緒にやっていきませんかと、切に訴えたいと思います。皆さん、明日提出の法案、就職氷河期が高齢になったとき、それもあと15年とか、もうすぐですよ。未来を守っていくためにも、修正案をみんなで是非頑張りましょうとお願い申し上げまして、次の質問に入らせていだだきたいと思います。
海上保安庁でも離職者が増加し、受験者も半減しているとの報道があります。自衛官のみならず、海保を始めとする公安職全般で人的基盤の強化が必要な状況になっておりますが、それに関する検討状況、並びに今後の方針をお伺いしたいと思います。
政府参考人(内閣官房):海上保安官を含む一般職、国家公務員については、令和6年度の一般職給与法改正において、採用市場における給与面での競争力向上のため初任給を大幅に引き上げるなど、若年層に特に重点を置きつつ、全ての職員を対象に全俸給表を引上げ改定する等、処遇改善に努めている。また、内閣人事局においては令和7年度の人事管理運営方針で、国家公務員の人材確保について、新規採用に係る広報強化、インターンシップの活用を含めた採用プロセスの在り方の検討、あるいは中途採用に係る志望者目線での情報提供の充実など、様々な手段を通じて優秀な人材の獲得に注力することとしている。
塩村:本法律案には、航空管制業務を行う自衛官に支給する航空管制手当を新設するとあります。これにより、民間の空港において航空管制業務を行う国土交通省の航空管制官と比較し、自衛隊の航空管制官の待遇が見劣りしなくなるということでよろしいでしょうか。
政府参考人(防衛省):同じ航空管制官として比較した場合、自衛隊の航空管制官と民間の空港において航空管制業務を行っている航空管制官、これはほぼ同等ということで考えてよいと思っている。
塩村:共用空港(編注・自衛隊または米軍が管理する飛行場のうち、民間航空機も日常的に利用しているもの)における航空管制官の人数は十分足りているのか、お伺いしたいと思います。
政府参考人(防衛省):共用空港を含め、自衛隊が航空交通管制業務を行っている飛行場では航空管制を的確に実施するための十分な配置がなされている。
塩村:共用空港ではどのような事故防止のための対策が行われているのか、具体的に教えてください。
政府参考人(防衛省):今申し上げた、航空交通管制業務を的確に実施するために必要な人員の配置のほか、飛行場、航空保安施設の計画的な点検整備、共用空港を利用する民間航空会社との定期的な意見交換などを実施している。
塩村:指定場所生活調整金についてお伺いしたいと思います。本法律案では、入隊直後から営舎や船舶内で集団生活を送るという特殊な環境下にある自衛官のため、採用から6年間、年間20万円を支給する指定場所生活調整金が新設されます。不慣れな場所での集団生活を耐え得るに十分なものなのか、その金額や期間の決定の過程も含めて教えてください。
政府参考人(防衛省):金額や支給期間については、不慣れな生活環境におけるモチベーションの維持向上を後押しするものとなるように、「不慣れな」というところに着目しており、ずっとということではなく、採用から6年間、最大で120万円を支給することとしている。現時点ではこの仕組みで十分ではないかと考えている。
塩村:金銭面の対応だけでなく、空調の整備など生活環境の改善についても精力的に進めるべきではないかと思いますが、ご答弁をお願いいたします。
中谷防衛大臣:今の若い世代のライフスタイルに合った生活・勤務環境をつくっていくことを目指しており、隊舎等の建て替えや改修、空調設備の改修、営舎内居室の個室化、駐屯地、基地内の厚生棟や生活隊舎における無線LANの拡充、そして女性用区画の整備などに努めている。令和7年度には生活・勤務環境改善予算として3878億円を計上しており、今後も私のリーダーシップの下、生活環境改善に努めていきたいと思っている。
塩村:続いて予備自衛官事業継続給付金についてお伺いをしたいと思います。給付対象となる「個人事業主」に該当するかの判断基準はどこにあるのでしょうか。
政府参考人(防衛省):当該の給付金は、個人事業主など自ら事業を営む予備自衛官等が災害派遣の活動等で招集に応じた場合に、その事業の継続に資するための給付金を支給するというものである。そのため給付金の支給に当たっては、予備自衛官等が招集に応じ、自ら事業を行うことができない間においてもその事業が継続しているか、という実態を確定申告書や開業等の届出書、あるいは取引先との請負契約書、業務委託契約書などで確認することを考えている。
塩村:私は元・消防団員ですが、消防団には同様の措置がないと聞いております。こうした個人事業主の消防団員の補償というものはこれまで検討されたことがあるのかないのか、お伺いしてもいいでしょうか。
政府参考人(総務省消防庁):消防団活動において、個人事業主への直接的な補償はないが、個人事業主を含む企業に対しては、消防団活動について積極的に配慮するなど消防団に協力する企業を消防庁又は市町村が認定する消防団協力事業所表示制度の活用を進めている。こうした消防団協力事業所に対し、入札参加資格の加点や個人事業税等の減免といった優遇措置などの支援策を講じている自治体もあり、消防庁としてはその充実を自治体側にお願いしているところである。
塩村:消防団も今、人員の確保が困難です。平日には訓練が、土日にはイベントなどがあり、家庭を持っている方などは、お父さんを駆り出されたりして、家族は寂しい思いをします。消防団には勤続表彰や家族表彰などがありますが、たとえば遊園地の割引券を贈るとか、そういった家族に理解と応援を促すような取り組みを検討していくべきかと思います。ご一緒に考えていただきたく、少し前向きな返事をいただきたいのですが、いかがでしょうか。
政府参考人(総務省消防庁):ご指摘のとおり、表彰以外に活動について家族に理解をしていただくことが重要であると認識している。委員の方から御示唆があったことも踏まえ、様々な検討を重ねながら、前向きに捉えていきたいと思う。
塩村:今回新たに創設される任期制士は、入隊直後より任務に当たるということになっていますが、入隊後の新隊員教育等はどのように実施していくのか。この点不安に感じる志願者が出ないように、どのように説明するのか、そして今後の制度の在り方はどうなのか、教えてください。
政府参考人(防衛省):自衛官候補生制度廃止後の新たな任期制士については、当初から自衛官として採用するが、まずは教育隊等において入隊当初の教育訓練を実施し、速やかに必要な知識、技能を習得させる。十分な教育訓練を行うし、仮に同期間中に任務に従事する必要が生じた場合でも、その教育訓練の進捗度合いに応じて任務を付与することになる。志望者が不安を抱くことがないよう、今申し上げたようなことを募集要項やホームページに記載し、しっかりと対応していきたい。
塩村:定年退職後の自衛官の再任用について、自衛官の職を一度離れた者についても対象とできるよう法改正がなされることになっていますが、そもそも再任用制度をつくる際に、なぜ職を離れた方を対象としなかったのか、理由を説明していただきたいと思います。その上で、対象に加えることとした背景や意義、これによって再任用者はどれぐらい増加するかの見込みも教えてください。
政府参考人(防衛省):自衛隊としての勤務から一旦離れると、任務を遂行し得る体力や能力の維持が容易でないのではないかとの見方から、定年時から引き続いての再任用に限定をしていた。他方、近年、自衛官の募集環境は極めて厳しい状況にあり、有為な人材の確保が課題になっている。また、勤務から一旦離れても体力や能力等を有する者というのは当然存在し、そういった方々については積極的に活用することが必要との判断に至った。現在の再任用制度では毎年百数十名から二百数十名を採用しており、少なくともこれを倍増させていきたいと考えている。
塩村:私はこの外交防衛委員会の野党側筆頭理事を務めさせていただいており、様々なイベントで自衛隊関連の方々と交流をする機会を持たせていただいております。その中で、複数の隊友会の方に「さきの大戦は大東亜戦争であるという認識は塩村先生にはあるのか」と問われる場面があり、「どういうことですか」と聞くと、「日本がアジアを解放するための戦いであったという認識を塩村先生はお持ちなのか」とか、そういうことをおっしゃるわけです。広島の被爆二世であり、フィリピンや韓国など、色々な国に行ってこうした問題に触れてきている者からするとやはり違和感があるので端的にお伺いしますが、この大東亜戦争の呼び名にアジア解放、ひいては大東亜新秩序の建設の意味が含まれていると考えるのか、外務大臣、防衛大臣の認識を聞かせていただきたいということと、こういった教育が自衛隊の中で行われているのか、その辺も含めて教えていただきたいと思います。
岩屋外務大臣:大東亜戦争という用語は現在、一般に政府として公文書において使用しなくなっており、大東亜戦争という呼称について定義を定める法律などもないと承知をしている。その上で、あえて申し上げるとすれば、様々な受け止め方があると思う。例えば、単なる地理的呼称で地域的に当時の戦争の実態に適合しているという指摘もあれば、さきの大戦を美化し肯定するような思想を含むという指摘もある。
中谷防衛大臣:防衛省の中においては、自衛隊員が歴史を客観的に理解することは国民の期待と信頼に応えて適切に任務を遂行する上で必要であることから、防衛大学校、幹部学校、幹部候補生学校といった自衛隊の学校において、客観的な事実とこれに基づく戦訓を教育する戦史教育を行っている。さきの大戦については、防衛省・自衛隊は平成27年に閣議決定された内閣総理大臣談話に基づいて教育を行っており、こうした認識の下で職務遂行に必要な能力を修得させ、偏りのない生活と正しい判断を養っている。私としては通常、さきの大戦は太平洋戦争と呼んでいる。
塩村:隊友会の方で、それなりの数の方が私の元にやってきてそういう話をしたということは、やはり懸念を持ってしまいますので、しっかりお願いいたします。ありがとうございました。