去る3月4日に、参議院の国際問題に関する調査会が開かれました。
第1回となるこの日は、「現下の国際情勢と世界の安定に向けた日本外交(総論(自国第一主義と国際協調))」をテーマとし、神保謙慶應義塾大学教授、岩間陽子政策研究大学院大学教授、田中均日本総研国際戦略研究所特別顧問の3人の参考人による意見陳述の後、質疑応答が行われました。
塩村あやかは党派を代表し、一巡目で質問を行いました。

▶動画はこちらから◀
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=8875
塩村の出番は「 1: 51: 48」ごろからです。
当日の質疑の概要は以下の通りです。
【塩村からの質問の要旨】

国際秩序が揺らぐ中、日本は防衛装備移転の制限(五類型)を撤廃し、事実上の殺傷兵器輸出解禁へと向かう歴史的な方針転換を進めています。米国の軍事リソースがアジアから引きはがされている状況で、日本を含む同盟諸国は「戦略的自立」の模索、あるいは独自の安全保障体制の再構築へと突き動かされているのではないでしょうか。
防衛装備移転を加速させ、「米国の不在」を補完する動きを、日本の「平和国家」としてのブランドとどのように整合させ、両立させられるか、伺いたいと思います。
私は理想論だけでは国の防衛はできないという現実を直視して議論する立場ですが、それは日本が普通の国になることと同義ではないとも考えています。
日本が戦後歩んできた「唯一無二の平和国家」という立場を「制約」ではなく、「他国にはない外交的レバレッジ」として活用し、米国の暴走を抑制しつつ地域を安定させるために使いこなすべきだと考えます。
「特別な平和国家」であることを活かした日本の対応や賢明な世渡り、外交の知恵について、皆さんの見解を伺います。
【神保参考人の回答の要旨】

・防衛装備移転の制限緩和は、支援先にとっての敵対国(およびその支援国)と日本との関係にマイナスの効果を生む可能性もある。日本の隣国がそれ(装備移転)を理由に装備増強や敵対的行動の強化へ進むかもしれないという、戦略上の意思決定と近接したところで判断をしなければならないことを十分に認識し、政策を進めてほしい。
・装備移転にも色々なアプローチがあり、例えば海上保安(警察力)相当の装備を支援することで、いきなり海軍同士が対峙するような事態を防ぎ、グレーゾーンの事態が即武力闘争とならないようなやり方が考えられる。
・戦争が起こると装備の需要が著しく変化する。ウクライナ軍では常に装備品が不足しており、その供給の可否が継戦能力そのものにつながる。互いに供給を行える関係を同盟国同士でどれだけ作るのか(『共同のサージ能力』)、といった視点も重要ではないか。
【岩間参考人の回答の要旨】

・私も日本が培ってきた平和国家としての信用は大事にすべきと考えるが、米国が防衛面において大きな役割を果たしてきたという大前提が変わろうとしている。『抑止』と『対話』は決して矛盾しないし、むしろ常にその二つは並行し、二重の外交として追求すべきである。
・日本が国民とその生き方を守る能力を持つことは必要であり、大きな自立性をいかに確保するかは真剣に議論しなければならない。他方、地域及び世界が無制限の軍拡スパイラルに陥らないように、制限や落とし所を見つけていくための努力は必要である。
・日本は軍備管理や軍縮のノウハウを蓄積している。他地域とも協力しながら、アジアにおける対話外交や将来の軍備管理の議論をリードしていくべきである。
【田中参考人の回答の要旨】

・日本の安全保障を担保するためとはいえ、米国に依存し、相手が喜ぶこと(フィリピンの軍事力向上支援など)だけしていくことは本当に国益に適うかが問われている。
・日本が目指すべきベストな形は、サッチャーの英国のような「米国に対して影響力を行使できる国」になることである。
・日本には米国に追従するだけでなく独自の外交を行ってきた実績がある(過去のイラン核交渉での橋渡しや、天安門事件後の中国とのいち早い関係修復など)。今後も米国に対して「テコ」を持ち、影響力を強めるような独自の外交が必要である。









