「気持ち悪い整合性を取る法案」

 塩村あやかの質問は「0:54:28」からです。
 

 本日、内閣委員会で「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」いわゆる重要土地法案について質疑しました。

 50分の質疑が25分になったので、駆け足の質疑でした。

 国民に牙を剝く可能性が十分にある法案だからこそ、条文を吟味する必要があります。
 本来刑罰を科す法律には「何をしたら刑罰の対象となるのか」という構成要件が明確であることが大前提です。この法案の問題は「間接罰」であること。見せかけの構成要件は「命令・勧告に従わないとき」と明確ですが、自分が「どうして命令を受けたのか」という「その理由」が法律に「例示」が一切ないままであり、「基本方針に示す」とのこと。そのほか、この法案はスカスカで「政令・省令」に委ねすぎな上、それだけではなく「基本方針」に大事な部分を託しているという大問題があります。

【基本方針の問題点】
 基本方針に「実質的」な構成要件が記されますが、「類型を潜脱する機能阻害を助長する」とのことで、基本方針にも「全ての類型」は示されないということです。
 この法案は自国民に牙を剝く可能性がある以上、外資の安全保障の脅威という趣旨から外れ、自国民が「何をしたら自分が刑罰対象になるのか分からない」ということがあってはいけません。しかし、法的拘束力のない基本方針に託し、機動的に追加したり削除したりするそうです。ダメですよね。省令や政令以下。立法府は蚊帳の外に置かれ、政府が「刑罰対象」を決めることができるなんて・・・。しかも、「気持ち悪い整合性」を取らせた法律です。「間接罰」ですから、法案にまったく明記しない手法を取っており「本質的」な「罪刑法定主義」に反すると考えます。

【5点の気持ち悪さ】
 この法案の問題を端的にいうと・・・5点の気持ち悪さがあります。
 ➀ 法案提出&採決時に、いわゆる実質的「構成要件」も示されていない(基本方針に託すとのこと)
 ➁ 本法案「違反判明後」も土地の所有は可(本質的な土地規制ができてない)
 ➂ 土地規制というより調査が主眼の法案。外資への安全保障としては実効性に欠ける法律のため、結果として「ほぼ自国民が対象」、となりかねない気持ち悪さがある(WTO GATSの関係で内外無差別。諸外国は手続きして外国資本の土地所有規制)
 ➃ 調査されても永遠に本人も誰も知らないまま(具体的な歯止めなし)
 ➄ 司令部機能がある市ヶ谷が「特別注視区域」から外れる可能性が否定されていない。

【今日の質疑で取れた言質】
 ●調査対象となった人数
 調査を受けたことは本人には分かりません。これ自体、大問題です。国家の暴走を防ぐため、せめて何人が対象になったのかは公表すべきと要望しておきました。前日までは「持ち帰って検討します」でしたが、本日の大臣の答弁では「公表する」と!よかった。少しでも歯止めになって欲しい。

 ●沖縄など基地反対運動は「対象外」
 これまで大臣答弁は「平穏に活動」などの言葉を使い、どこからが「平穏ではないのか」という疑問が残っていました。また、土地の「利用者」は対象とのことでしたが「利用者」の定義も曖昧。

 沖縄の北部訓練場の返還地にある米軍の廃棄物を、チョウ類研究家の女性が環境保護の観点から米軍のメインゲート前に廃棄物をお返し(置いた)した結果、家宅捜索を受けてパソコンなどを押収されたというビックリの事案がありました。午前中の連合審査で共産党の井上哲士議員が新聞記事を取り上げており、分かりやすいケースだったので「このケースは対象になるのか」と大臣に問うた結果、「このケースは調査対象には当たらない」との明確な答弁を取りました!よかった。
 これまでは「搬入の阻害をするなどの行為を恒常的に行っている場合には勧告・命令を行うことになる」旨の答弁があったため、危惧をしていました。しかし、大臣の答弁で現状行われている基地反対活動は「本法案の対象外」との確約が取れました。よかったです!

 

井上哲志士議員の新聞記事PDFこちら20210610内閣委員会井上議員資料1
20210610内閣委員会井上議員資料2

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