私達がアジア・パシフィックの平和の架け橋に。~Asia Pacific Young Leaders Forum, Jeju 2021にパネリストとして参加をして

私達がアジア・パシフィックの平和の架け橋に。
Asia Pacific Young Leaders Forum, Jeju 2021にパネリストとして参加をして

 11月11日・12日と開催された国際シンポジウムに日本の代表として、参加をしました。テーマは「アジア太平洋地域における平和と安全の促進:若いリーダーの視点」。パネリストは韓国民主党のイ・ジョンジェ議員、モンゴル人民党外交官のキシ・エンクベイヤーさん。モデレーターは核不拡散及び軍縮のためのアジア太平洋リーダーシップネットワーク(APLN)副議長のムンさんでした。

 まず、各々のスピーチ。そして、セッション。私に対しての質問が多かったように思います。やはり周辺国の安定のためには日本の行動もキーになるということで間違いありません。米国とは同盟関係があるという点でいえば、韓国も核兵器禁止条約に参加していません。北朝鮮や中国のリスクを抱えている点でも同じ。偶発的な衝突を避けるためには、できることをしておかねばいけません。こうしたフォーラムを重ね、若い時代から接点を持つことで相互理解と信頼を深めていくことが重要だと考えます。

私の本日のスピーチは以下です。

 日本の参議院議員、塩村あやかです。
 本日はお招きいただき、本当にありがとうございます。
 私の父が広島で被爆しており、私は被爆二世になります。その出自からも、平和に対して強い思いがあります。本日を起点として、私達がこの先のアジアの、そして世界の平和を創っていく、その仲間の一員に私も加えて頂けたら幸甚です。

 さて、このテーマは非常に深く、5分で自分の意見を申し述べるには限界がありますが、挑戦をしたいと思います。

 まず、核兵器禁止条約についてです。
 日本が参加をしないことが被爆二世の立場からも残念でなりません。核の傘や日米同盟の問題があるため、「核保有国と非保有国の橋渡しをする」と政府は説明をしますが、唯一の戦争被爆国の日本だからこそ、率先して参加をして核保有国との「融和と橋渡し」ができるはずです。被爆地広島の岸田氏が総理大臣になったにも関わらず、それができない日本の政治状況は残念ですし、世界にも奇妙に映っているはずです。
 核保有国と、非保有国の対立の構図を緩和・解消していくため、朝鮮半島を中心とする北東アジアに「非核兵器地帯」を設置することを含めて、非核兵器地帯を広げていくべきだ」という意見も野党を中心にあります。私達民主系野党は核兵器のない世界の実現を目指していきます。

 次に、感染症対策における、世界の連携についてです。
 このたびのパンデミックで明らかになったことは、各国での情報提供が不十分だったことではないでしょうか。
WHOは国際保健規則(IHR)に基づき、WHO感染症サーベイランスシステムを構築していますが、途上国では体制が十分に整っておらず、アウトブレイクの探知に大きな問題を抱えています。背景には、地域や言語による情報格差や、各疾病間(国際的に関心度の高い疾病とそれ以外の疾病)のサーベイランス及び検査システムの格差があるとされます。そこで、WHOは、予期せぬ疾病・事象の探知や保健施設へのアクセスの悪い地域での探知に強みを持つ「イベントベース・サーベイランス(EBS)」(公衆衛生事象(イべント)を事象単位で報告・評価するシステム)の導入を推進していますが、今回の新型コロナでは、中国・武漢で発生した原因不明の肺炎について、2019年12月29日から武漢当局が調査を開始していたにもかかわらず、中国はIHRが義務付けるWHOへの通報や検証を守らなかったと言われています。この反省から、IHRが実効性のある制度となるように、我が国も含め、複数の国・組織からWHOやIHRの改革を求める声もあがっています。
 パンデミックをいち早く感知するための世界的なサーベイランス体制の確立を推進することは、WHO任せにするだけではなく、私達政治家や各分野のリーダーも相互理解を深めることで中国などに協力を促していくことが重要であると考えます。

 次に、アジア太平洋地域(南シナ海等)の海洋秩序の維持についてです。
 偶発的な衝突を回避するという観点から、定期的な協議や多国間訓練を実施していくことが国際シンポジウムにおいて我が国の識者からも提案されておりますし、中国による海洋進出がある中で既存の海洋秩序を維持するという観点からは、共通利益を有する地域各国と連携し、防衛力や海上における法執行能力の強化等を図っていくことも重要と考えます。一方で、防衛力の強化は、中国を孤立させ、不必要な軍拡を呼ぶ可能性があるために、防衛力の強化とともに中国に「協調的安全保障」を促す努力も必要です。
 また、特に、南シナ海の問題に関して、中国、日本、インド、米国を含むすべての関係国が現在の軍事活動を控えるべきであるといった指摘も国際シンポジウムであがっているとおりです。
 南シナ海の主権紛争の解決に向けては、中国に 仲裁裁判所 判決を履行するよう訴えていくことや、「政治的信頼を蓄積」すること等によって法的仲裁が実施される環境を整備していくことなどがやはり重要と考えます

 政治的にみれば、残念なことに日本や周辺国がいがみ合いをしていることが残念でなりません。偶発的な紛争や衝突を避けるためには、私達のような若い世代が日頃から交流を深めることも大事です。今回のようなフォーラムで定期的に交流を持ち、機会があれば顔をあせる。日頃の積み重ねも大事に「感染症対策」はもちろんのこと、「気候変動対策」「人権問題」について共に取組んでいくことが重要と考えます。

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