本日から補正予算の審議が参議院予算委員会で始まりました。
塩村あやかは、立憲民主党の質疑者の2番手として質疑に立ちました。本日はNHKの生中継もありました。
【杉田水脈総務政務官の資質と岸田文雄総理の任命責任】
まず、岸田総理に、ネットのひぼう中傷対策を行う総務省の杉田政務官が、自身のネット上でのひぼう中傷に関して答弁拒否を繰り返していた問題について、説明責任があるものは答弁しなくてはいけないのではないか。また、政務官含めた政務三役を人事をどう考えて任命したのかを伺いました。
岸田総理からは「人事は適材適所。私の内閣では多様性のある包摂社会の実現に取り組んでいる。過去の発言については政治家として説明責任を果たしていくことは大事。政府の一員になった以上、政府の方針に沿って職責を果たしてもらわなければならない。」との答弁でした。
塩村は、
➀性暴力被害者である原告(ジャーナリストの伊藤詩織さん)に対して浴びせられていた、数々の誹謗中傷にTwitter上でいいねを大量に押したこと。
➁イギリスのBBC放送で「(伊藤さんに)女性として落ち度があった」とインタビューで政務官は答えていたこと。
➂性暴力被害者のためにワンストップ支援センターを全国で増設するという方針に対し、「女性はいくらでもウソをつけますから」と、性暴力被害の虚偽申告があるような発言をしたこと。
➃2014年10月15日の衆議院内閣委員会で「女性差別というのは存在しない」と発言したこと。
➄2014年10月31日の衆議院本会議で「女性が輝けなくなったのは、冷戦後、男女共同参画の名のもと、伝統や慣習を破壊するナンセンスな男女平等を目指してきたことに起因します。男女平等は、絶対に実現しない、反道徳の妄想なのです」「男女共同参画基本法という悪法を廃止し、それに係る役職、部署を全廃することが、女性が輝く日本を取り戻す第一歩」と発言したこと。
➅待機児童問題があった2016年に、産経新聞社のニュースサイトの自身のコラムで「こどもを家庭から切り離し、保育所などの施設で洗脳教育をする、旧ソ連が共産体制の中で取組み、失敗したモデルを21世紀の日本で実践しようとしている訳です。コミンテルンが(中略)日本の一番コアな部分の家族を崩壊させようと仕掛けてきました」と主張したこと。
➆2016年「新潮45」11月号で「LGBT支援なんかいらない」というコラムで「国や自治体が少子化対策や子育て支援に予算をつけるのは、『生産性』を重視しているからです。生産性のあるものとないものを同列に扱うには無理があります」「このままいくと日本は『被害者(弱者)ビジネス』に骨の髄までしゃぶられてしまいます」と書いていること。
➇ジュネーブで開催された国連女性差別撤廃条約に参加したアイヌ民族や在日コリアンの女性達について、自身のプログで「会議室では小汚い格好に加え、チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなるくらい気持ち悪く、国連を出る頃には身体に変調をきたすほどでした。とにかく、左翼の気持ち悪さ、恐ろしさを再確認した今回のジュネープでした。ハッキリ言います。彼らは、存在だけで日本国の恥晒しです」と投稿したこと。ちなみに、この投稿のタイトルは「日本国の恥さらし」で、自身のTwitterでも拡散をしたこと。
※これに対し杉田政務官は、「当時はまだ国会議員ではなく一般人だった。100人ぐらいが私を取り囲まれた。」と答弁しましたが、杉田氏のコラムによると自分から近づいたことになっています。また、当時は国会議員になった後の落選中の時期であり、一般人というのは印象操作ではないか、と指摘させて頂きました。詳しくはこちらをご覧ください。
以上をあげ、杉田政務官に事実関係、発言の謝罪や撤回はしないのか、今も同じ考えなのか等質しましたが、杉田政務官からは謝罪はありませんでした。このまま政務官の座に留まるとのことでした。
それを受け最後に、総理の地元の広島の新聞社の社説をあげ、総理の決断を問いました。
その社説には「社会人としての資質さえ疑われる人をなぜ、内閣の一員にする必要があったのか。総理の掲げる『多様性を尊重する社会』にも逆行している」「誰もが人間として尊重されなければならない。それを否定するのはヘイトスピーチと変わらない」また「さらに問題なのは、本人に差別意識や反省が乏しとだ」最後のしめ括りは「もはや、差別容認発言をした議員個人の問題ではなくなっている。問われているのは、岸田首相の見識や任命責任だ。今すぐやめさせるべきである。」とあり、杉田水脈総務政務官の起用に強い疑義を呈しています。
岸田総理からは、冒頭の答弁と変わることはなく「多様性を認め包摂性のある社会を目指さなくてはならないと言う方針は変わらない。内閣の一員である以上、この方針に従ってもらわなければならない。内閣の一員になる以前の言動は、政治家自身が責任を持って政治の信頼を元に、しっかりと説明責任を果たし、そして適切に対応してもらわなければならない」との答弁に止まりました。
塩村からは、先ほどの「一般論で「特定の国や地域の出身の人と同じ空気を吸うだけで気持ち悪い」「特定の国や地域の出身者を、存在だけで恥さらし」というのはヘイトスピーチにあたるのかどうか」という法務省への質問に対する、法務省人権擁護局長の曖昧な答弁から、杉田政務官が大変な悪影響を与えている事は明白であり、総理に決断と実行を再度迫りました。
【マイナポータル利用規則問題】
次に、マイナポータル利用規則問題について、塩村から「マイナンバーカード、私も何年も前に作って持っているので、いい形で安全に普及をしていって欲しいなという風に思っている。しかし、マイナポータルの利用規約の免責条項に疑問の声があがっている。マイナポータルの利用契約では、本システムの利用および利用ができないことにより利用者又は他の第三者が被った損害についてデジタル庁は責任を負わない旨を第二十三条等に規定しており、安心して作れないという声が上がっている。安心して使っていただけるように規約を変更していくべきではないか」と政府を質しました。
河野デジタル大臣からは「おっしゃる通りだと思います。デジタル庁に故意または重過失がない場合には免責されるということで、一般的な免責規定ですが、そうしたことを知らない方が読めば、全部免責されるように読めてしまうわけですので、これはもう修正するように指示をして、文言上がってきているが、もう少し分かりやすくしたいと思っている。12月にはマイナポータルを使いやすくするために改変を予定をしており、なんとかそれまでに間に合うように努力はしていきたい。ただ法律的な手続き、法律的なチェックその他の手続きがあるので、今の時期ではちょっと確約はできませんが、なるべく頑張って年内にやりたいと思っている。」との答弁を頂きました。
塩村からは、安心して利用できる環境を作ることが様々な懸念を払拭につながるので、早急に対応をお願いしました。
【新しい控除税制】
次に新しい控除の税制について、「今は非常に大変な時代で、格差がひらいたりとかコロナ禍を経て皆さんが不安を感じている時代で、負担が様々に重たいという風に感じている。そこで例えば、災害を受けた方に対して「災害損失控除」や、奨学金返還している方に対して「奨学金の返済控除」、または大人になって大学に行く「リカレント控除」など必要な人が「助かる」と思える控除をしっかりと拡大していくことが国民とか納税者の納得感を得られて、そして必要な人に届いていく支援だと思う。こうしたことが信頼を得られる政治、納得が得られる政治に繋がっていくと思うが、こうした検討をお願いできないか。」と鈴木財務大臣に伺いました。
鈴木財務大臣からは、「まずご指摘の点について、税は行政サービスの費用を賄うために重要なものであり、ご指摘の通り国民一人一人に税金を納める際の納得感をもっていただくことは大切な視点であります。一般論として、ご指摘のような個別の政策目的に応じて、控除を設けることについては所得の少ない人ほど軽減される税額が少なくなるといった課題があることなどを踏まえれば、慎重に検討する必要があると考えますが、各種控除の在り方等については納税者の先ほどご指摘のありました納得感との視点を持ちつつ、公平・中立・簡素といった観点、効果の面、これも踏まえて、今後も経済社会の構造変化への対応や所得再分配機能の回復等の観点から税制全体の議論の中で引き続き検討していきたい。」との答弁でした。
塩村からは「高所得者ほど控除が大きくなるわけではなくて、災害損失控除ですから、災害が起きた方にピンポイントに効いてくる。奨学金というのも氷河期の私なんか受けられなかった。そうしたことをしっかりと検討してほしい」と最後に再度お願いし質問を終えました。