「セキュリティクリアランス法案」参議院内閣委員会で審議入り

 本日、内閣委員会「経済安全保障推進法改正案、重要経済安保情報保護法案」いわゆる『セキュリティクリアランス法案』の質疑が行われました。
 塩村は、鹿児島県警察事案、国際競争力の低下、同盟国や同志国に通用する要件、日米宣言における内容の実効性との関係等について、高市早苗内閣府特命担当大臣(経済安全保障担当)と質疑しました。

 塩村あやかの質問は「2:05:37」からです。

本日の質疑の内容は以下の通りです。

塩村:経済安全保障推進法の改正案について伺います。
 法制定時の審議で港湾を狙う事案は指摘されていた。今後の再発防止、指摘をしていたにもかかわらず、やっぱり起こったから改正するといったことを防がなければならない。
高市大臣:重要なインフラは、平時よりリスクを点検し経済性保証推進法の活用も含めてその対応策の検討を行うこととしている。事案を受けて後追い的にを追加するかを議論するのではなく、技術の進展、社会構造の変化を踏まえて、不断の見直しを行うべきであり、過去に発生した事案で、海外で発生した事案も含めて、幅広く政府全体として情報収集を行うべき。

塩村:重要経済安保情報保護法に関連して、警察の不作為により警察と対立状態となってしまった被害者側や、それを報じた側に家宅捜索が入るなど、警察の恣意的操作や報道弾圧が懸念される事案が発生している。当然、違法行為が疑われた場合には捜査をシッカリとする必要があるが、捜査当局暴走はあってはならない。警察庁の見解を伺う。
渡辺刑事局長:資料の流出による個人情報の漏洩事案について、鹿児島県警察において体制を構築して調査、捜査を行っている。4月8日に同県警の巡査長を地方公務員法違反職務上の秘密を漏らした疑いで逮捕して、現在捜査中。一般論ですが、都道府県警察における捜査というものは、法と証拠に基づいて適正に行われるべきもの、と考えている。またその際には、警察としての公平、中性な姿勢を保って捜査を進めることも重要である考えており、こうしたことについて都道府県警察を指導していきます。

塩村:セキュリティクリアランスの仕組みと重要性について大臣が認識した時期はいつ頃か。

高市大臣:安全保障特に国防や外交分野などにおけるセキュリティクリアランスということの制度が他国にあること、またその必要性について考え、有識者など意見交換をしたのが約15年前。2022年8月の大臣着任以前から重要性を認識。大臣着任以降、セキュリティクリアランスの重要性について積極的に言及している。
塩村:過去に制度化できなかった理由は。
高市大臣:セキュリティクリアランス制度は、個人に対する調査を含むものであり、プライバシーへの配慮など慎重に検討すべき課題も多く存在する。政府としては昨年2月から有識者会議を開催し、約1年かけて10回の審議を重ね丁寧に議論した。この制度の対象となる個人や企業などとの関係で、拙速に議論を進めないようにいうことも配慮をしながら、熟慮を重ねて検討を進め、今国会への法案提出となった。

塩村:働く人たちとか事業者の皆さんの理解が進んでいるのか、この辺りはやはりまだまだだったんじゃないかなと思っているので、それをしっかりと進めていくことが今後の課題、日本の政治の課題だと考える。
塩村:産業や経済の国際競争力と技術流出、セキュリティクリアランスが未整備の状態が長らく続いてきたことは、我が国の産業競争力、国際競争力への負の影響は大きかったのではないか。産業や経済の国際競争力と技術流出の問題、とりわけ、バブル崩壊後の我が国の動向も踏まえた見解を伺う。
高市大臣:1990年代のバブル崩壊以降、長引くデフレを背景に、賃金や成長の源泉である投資が抑制。消費の停滞、物価の低迷により、経済成長が抑制されたと承知している。セキュリティクリアランス制度は、政府が保有する情報の保全のための制度であるが、事業者の国際的なビジネスの機会の確保・拡充、ひいては日本企業の国際競争力の向上にも資すると認識している。
塩村:同盟国や同志国に通用する要件は何か。罰則の水準か。対象となる情報の範囲か。また、主要な同盟国や同志国に通用するSC制度を我が国が整備することにより、どのような効果が期待されるか。
高市大臣:一般的には、秘密情報の保護措置、信頼性の確認を含む、情報を取り扱う者の制限、漏えい時の罰則等の要件や運用の状況も含めて諸外国から認められることが必要と認識している。
 また、外国政府との情報共有の一層の円滑化による同盟国・同志国などとの経済安全保障分野の協力拡大・深化を期待している。さらに、セキュリティクリアランス制度の存在が、いわば「信頼の証」と認識されている事例もあることから、民間事業者間の国際的な一定の情報のやり取りの円滑化も期待している。
塩村:日米共同宣言における、その内容の実効性とセキュリティクリアランスとの関係をお伺いしたい。
高市大臣:今般の総理の米国公式訪問では、様々な分野における新たな日米間の協力について一致したと承知している。引き続き、本法案も踏まえ、我が国の情報収集・分析能力の充実・強化及び情報保全に一層取り組む。同盟国であるアメリカや同志国との一層の連携協力に資するものになると考えている。
塩村:日米大学間のAIパートナーシップにおける、セキュリティクリアランスの有無による連携強化の差異について。
高市大臣:この法律案により、セキュリティクリアランスを民間人が得る機会が広がれば、研究機関を含む事業者にとっても政府が関与する国際共同研究に参加する機会が増加するということは期待できる。また事業者同士の共同研究においてもクリアランスを保有するもの同士の間で、一定の情報のやり取りというのを円滑になるということも期待できる。本法案による制度整備によって、大学などの研究機関も含めて経済安全保障分野における国際協力が一層進展して、我が国の技術力が高まっていくということを期待している。
塩村:国際共同研究が進み、我が国の強みとなる産業に育つ可能性があると考える産業は具体的に何か。市民・国民が生活で実感できることを法案理解のために具体的に例示を。

高市大臣:有識者会議の「最終とりまとめ」において、「セキュリティクリアランス制度の導入によって、将来的に、例えば衛星・AI・量子、Beyond 5G といった次世代技術の国際共同開発に関する機会が拡充してくるのではないか。」との指摘している。あえて例を挙げると、衛星情報のAI解析というのは、今でしたら水道管の老朽化のチェックとか、また農林水産業などでも活用されており、様々な可能性を開くことにつながっていくと思っている。
 また、国際共同研究に関し、重要経済基盤の脆弱性の解消や重要経済基盤の革新的な技術に関する調査及び研究等に該当する場合には、本法案の目的にある「事業者による我が国の安全保障の確保に資する活動」と位置付けられることとなり、この法案や、関係する国際的な枠組みと相まって、円滑な推進が図られていくものと認識している。
塩村:スタートアップ企業がクリアランスを取得し、国際共同研究に参画するといったケースは考えられるか。
高市大臣:もちろんスタートアップ企業も一定の基準を満たす適合事業者として認められれば、行政機関との契約によって重要経済安保情報を活用することができます。よって国際共同研究などにも参加することは可能。
塩村:独立行政法人について。情報の重要性に鑑みれば、将来的には、重要経済安保情報保護活用法の対象となる情報を政府保有の情報に限定せず、独立行政法人が保有している情報も追加することを検討すべきではないか
高市大臣:本法案は、情報保全措置の一環として、政府が保有する経済安全保障重要な情報を保護・活用することを目的としており、独立行政法人が保有する情報は対象外。
 本法案第10条第2項のとおり、独立行政法人において、重要経済基盤の脆弱性の解消など我が国の安全保障の確保に資する活動の促進を図るため、国がその独立行政法人の同意を得て調査研究などを行わせることとし、それによって生じる「技術情報」を、予め「重要経済安保情報」に指定すると通知し、独立行政法人を「適合事業者」として契約を結ぶこと、によって当該「技術情報」を「重要経済安保情報」として保有させることは可能。
 要は独立行政法人を所管する行政機関においては、このような今回の法律案に基づくスキームの活用に加えて、我が国の技術的優位性を確保、維持する観点から、不正競争防止法とか外為法といった既存の制度をちゃんとしっかりと活用すること、そして研究インテグリティの確保をしっかりやっていただく、これによって情報保全の徹底を図っていただくことになる。

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