「包括的性教育」私たちだけが遅れている ~内閣委員会~

 本日、内閣委員会「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案」(こども性暴力防止法案)いわゆる日本版DBSについて質疑が行われました。
 塩村は、・認定対象・(国連勧告)性暴力と人権の関連性・包括的性教育・確認対象とする性犯罪歴・DBS制度の実効性担保等について、加藤鮎子内閣府特命担当大臣等と質疑しました。

 塩村あやかの質問は「0:22:25」からです。

本日の質疑の内容は以下の通りです。

【認定対象について】
塩村:芸能事務所の実態の把握は。規模も業務内容も多様で有象無象の世界。実態調査は行ったのか。
藤原こども家庭庁成育局長:芸能事務所を、これまでに実態調査を行ったことはない。活動実態は、さまざまであり、法案成立後、芸能関係の団体などから実態を聞き、具体的な検討をしたいと考えている。
塩村:芸能団体から聞くのも良いが、それは運営側。働いている側などからしっかりと実態を聞く方が重要である。
塩村:グループ会社(少人数経営)などについて判断基準をどうするか
藤原局長:グループ会社という法的な定義はない。そのこと自体について判断基準をお答えすることは難しいが、認定の主体となる事業者としては、認定事業者の義務を履行する権限や体制を有していることが必要。具体的には犯罪事実の確認の義務とか、防止措置等の認定事業者に求められる義務の履行が可能な事業者であるという必要があると考えている。また、全く一人の事業主について、この法案の対象にすることができない場合に、どのような方策があるのかということについて、例えば何か団体を使ってそういった組織体が一人の事業主を取りまとめて、認定の対象にすることができないかといった議論もあったが、どのような組織体であればこういった対象にできるのかといった点も含めて検討を進めていきたいと考えている。
塩村:「マネージメントを主とする事業者であっても、児童等に知識や技芸の教授を行っている場合は対象となりうる」とのことであった。経営者やマネージャーについてはどうか。対象となる判断で間違いないか。
加藤内閣府特命担当大臣:一般論として答える。芸能事務所の経営者マネージャーについては、日程管理は営業などのマネージメントを主として行う場合であっても、例えば芸能事務所が演劇やダンスなど関連した技芸としてオーディションにおける話し方の手法を享受するなど、民間教育事業を行なっている場合、その管理者や技芸または知識の教授を行うものに該当するものは対象になり得ると考えている。また、民間教育事業は、様々な活動事態があるので、法案が成立後に芸能関係の団体等から実態を聞き、どのような事業形態が該当するかといった考え方について、具体的に検討しガイドライン等で示していく。

塩村:明確になったと思います。全ての事務所がそういったところではなく、一部の事務所に非常に問題があったということで、そういった中で危険を取り除いてほしい、という趣旨の質問だと理解してほしい。
塩村:今国会で道交法改正があり、基本的に高校生はみんな運転免許を取ることができるようになったが、なぜ自動車教習所は認定の対象範囲に入っていないのか。
藤原局長:自動車教習所は、免許を受けようとする者に対して自動車の運転に関する技能及び知識について教習を行う施設となっているので、児童等に対して教習を行う場合には、本法の二条5項三号に規定する「児童等に対して技芸又は知識の教授を行う事業」として一定の要件を満たす場合には、民間教育保育と事業者として認定の対象になり得ると考えている。また、各種学校による認可を受けているところもあると聞いており、そちらについては別の条文になるが、本法二条5項一号の方に該当する場合には認定の対象になり得ると考えている。

【(国連勧告)性暴力と人権の関連性について】
塩村:性暴力と人権の関連性について。国家人権機関の設置国数と日本の設置状況は。
柴田法務省大臣官房審議官:非政府組織である国内人権機関世界連合管理のウェブサイトによると、令和6年6月7日現在、国内機関の地位に関する原則「パリ原則」に完全に適合した国内人権機関を設置している国地域は九十である。また我が国はパリ原則に沿った国内人権機関が設置されていない。
塩村:GANHRIのアジア太平洋国家人権機関フォーラム(APF)におけるパリ原則の各国の認定状況は。
柴田審議官:ARF令和6年6月17日現在のウェブサイトによると、このフォーラムには26カ国の国内人権機関が加盟しており、そのうち非政府組織である国内人権機関世界連合管理によりパリ原則に完全に適合すると認定された国内人権機関は17である。
塩村:アジア太平洋に限定をすれば、フィリピン、インド、韓国対など17カ国が満たしているが、日本は入っていない。日本は、性暴力等の人権意識が決して高い国だとは言えないと感じている。

【包括的性教育について】
塩村:包括的性教育について聞きたい。ユネスコの文献(2017)において性教育の実施における結果の報告は。

金井外務省大臣官房国際文化交流審議官:国際セクシュアリティ教育ガイダンスは、ユネスコによる委託の下で教育や健康などに関わる政策立案者が、学校内外における包括的セクシュアリティ教育プログラムを開発し実践することを支援するために作成されたものであると承知している。このガイダンスの付録には、セクシュアリティ教育プログラムのエビデンスレビューの結果が収録されており、例えば、初めての性交の項目では、セクシュアリティ教育が初めての性交へ与えた影響として、「優位の影響なし」が63%、「遅らせた」が37%、「早めた」は0%であったとの結果が記載されている。
塩村:そうなんです、むしろ、ちゃんと自分を大切にする、相手を大切にするという概念を学んでくるので慎重になる、という結果の方が強く出ている。「寝た子を起こす」というような議論が日本では長くされてきたが、世界に出ている方などは、ちょっと違うんじゃないかと多くの方が思っている。政治の場がしっかり変わっていくことが必要。
塩村:先進的な教育を進めるオランダやフィンランドにおいて、性的行動はどうなっていると把握しているか。
藤原局長:詳細の海外の状況を把握しているわけではないが、民間の財団で有識者会議があり、その提言書には、オランダやフィンランドのような先進的な性教育を進める国では、性的行動が慎重になるといったことが明らかになっている、といった記述がある。
塩村:そうなんです。ちゃんと慎重になるんです。自分も相手に対しても大切にするようになるんです。私たちだけが遅れているんじゃないかと思うので、みんなで共有していきたい。
塩村:国連女性差別撤廃委員会(第7回8回合同定期報告最終見解)において、示されている懸念とどのような対応が求められているか。
松尾外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官:国連女性差別撤廃委員会は、女性差別撤廃条約の実施状況にかかる日本の第七回及び第八回定期報告に関する最終見解の教育分野の項目において、性と生殖の健康と権利に関する年齢に応じた教育内容に対し、政治家や公務員が過度に神経質になっていることに懸念を示した上で、締約国たる日本政府に対する勧告として、「性と生殖の健康と権利について、学校の教育課程に統計的に組み込めるよう、年齢に応じた教育内容と実施に関する国民の懸念に対処すること」と述べている。
塩村:こうした勧告などは真摯に受け止めて、もう変わっていかなきゃいけない時期をとうに過ぎているということを改めて強調しておきたい。 少なくとも教師は包括的な性教育ぐらいは知っておかないと適切な性暴力があった時にも適切な対応も取れないと思う。少なくとも先生ぐらいは先行して包括的性教育を学ぶということを実施していただきたいと要望しておく。

【確認対象とする性犯罪歴について】
塩村:確認対象とする性犯罪歴について。体液を女性にかけた場合、受けた側は性的な動機、性的な犯罪と感じるのではないか。
加藤内閣府特命担当大臣:私の個人的な受け止めとして、体液をかけられるという被害にあった場合、被害にあった方からすれば、性的な動機に基づく性的な犯罪であると感じる、と思います。が、ご提案のような犯罪を対象に入れるには、前科の中から体液をかける行為という一部の行為だけを抜き出す必要があるので、誰がどのような基準で公正に判断できるかなどの様々な検討課題があるも考えている。

塩村:明確にありがとうございます。次期改正にはこういったことも含めることを検討することを要望する。
 また、女児に体液をかけた保育士や学校教師は次の保育所や学校に就職をする際にもDBS制度上では問題なしと判断されるということで間違いないか。予見可能性が十分ある事案に対して今後どう対応していくのかというというところも、次の法改正で検討していただきたい。

【DBS制度の実効性担保について】
塩村:実効性の担保について伺いたい。鹿児島県警の性暴力受付拒否事案について。鹿児島県警の対応は誤解を招いたのではないか。鹿児島県警に「事件が隠ぺいに取られることはあってはならない」と指導を厳しくしたのか。
渡邊警察庁刑事局長:議員ご指摘の個別の事案についても簡単に触れさせていただくと、鹿児島県警察において、令和4年1月に告訴を受理して、所要の捜査を遂げ、令和5年6月9日に検察庁に送付している強制性交事件のことを承知している。この事件については、こうした形で送付されているので、ご指摘のようなことはあたらないと考えているが、これ以上は差し控えさせていただく。その上で、この個別事件から離れて、一般論として、鹿児島県警察を含む都道府県警察に対しては、性犯罪の被害者から届け出を受けた場合には、まず被害者の立場に立って適切に対応すること、また警察が被害届の受理を渋っているのではないかなどと受け止められることのないように被害者の心情に配意すること、などについて縷々指導をしてきている。今後とも、全国警察に対して、性犯罪に関わる被害の申告に対する警察の姿勢に、いささかの疑念も抱かれることのないように指導を徹底していく。
塩村:性暴力について警察の取るべき対応について。現在問題となっているストーカーの隠蔽事案もあったが、反省踏まえ、性暴力は特に暗数が多いことを考えても、全国警察に積極的に受理することを「いまいちど」徹底すべきではないか。犯罪が受理されないのであれば、日本版DBSは根本から機能しない。
渡邊局長:まず、警察では被害の届出等なされた場合には、原則としてこれを受理して必要な捜査を行うこととなります。警察庁としても迅速確実な被害届の受理について、通達を発出するなど都道府県警察への周知を図ってきておりますし、警察官に対する各種の研修や各種会議の場等においても、累次にわたってこれを指示してきている。なかでもご指摘の性犯罪は被害者に対して身体的にも精神的にも極めて重い被害を与える重大な犯罪だと考えており、被害の届出に対する適切な対応について、警察庁としても特に重要と認識している。法案が成立した場合には、こうしたことも踏まえつつ、都道府県警察において性犯罪の被害者の立場に立った適切な対応がなされるよう、更に指導を徹底していく。
塩村:ありがとうございます。力強い答弁をいただきました。是非しっかりと実行に移していただきたい。と同時に、鹿児島県警の問題は非常に深刻ですから、警察庁がしっかりと陣頭指揮を取って真相解明に動いていただきたい、ということを強く要望し、質問を終わります。

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