去る6月9日に決算委員会が行われました。
塩村は年金改革法案を中心に、消防団の待遇改善や痛くない乳がん検診について、石破総理大臣、村上誠一郎総務大臣らと質疑しました。
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https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=8604
塩村の出番は「 2: 04: 45」ごろからです。
当日の質疑の内容は以下の通りです。
塩村:改選前最後の質疑は、年金改革を就職氷河期の視点から取り上げたいと思います。就職氷河期は非正規で社会に出て、低賃金でボーナスも退職金もなく、低年金となる人が他の世代に比べて多いのが特徴です。さらに現在のままですと、マクロ経済スライドによって基礎年金が3割減少し、就職氷河期を直撃すると見込まれています。これは国民年金の方だけではなく、厚生年金の皆様の年金も目減りをするということです。そのため私たち立憲民主党は今回、衆議院の方で修正を行わせていただきまして、本日はその修正が氷河期世代、そして現役世代全体のためになっているかということを確認したいと思います。まず、今回の修正案によって氷河期世代の50歳、基礎年金のみの女性の場合、年金の受取額がどれだけ増えるのか、教えてください。
石破総理:今審議いただいている3党提出の修正案は、今後の社会経済情勢を見極めた上で、基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合にはマクロ経済スライドを早期に終了させるということものである。令和6年財政検証の実質ゼロ成長を見込んだケースに基づき、基礎年金のみを平均余命まで受給すると仮定して機械的に試算すると、当該措置を実施した場合、現在50歳の女性の方では年金受給総額が約320円増加する見込みである。
塩村:同じ50歳で、厚生年金の場合はどうでしょうか。
石破総理:最も増加効果の小さい、月額20万の年金を受け取られる上位20%の方々の場合で、受給総額の増加は約52万円と見込まれている。
塩村:一番上がり幅が少ない方でも52万円ということで、それより年収が少ない方はもっと上がることになるんですね。これは厚生年金の皆様にも非常にメリットがあると思います。それでは、厚生年金の加入者で50歳以下の方のうち、年金の受給総額が上がるのは何%になるのか、お答えをいただきたいと思います。
石破総理:95%以上の方々の年金額が増えると見込まれている。
塩村:もう少し年齢を下げて、基礎年金のみの30歳女性の場合、受給総額はどれだけ増えるのか、あるいは減るのか、お伺いしたいと思います。
石破総理:約401万円増えると見込まれている。
塩村:若い方ほど、マクロ経済スライドの早期終了の効果が長く効いて、受給額が上がることになるわけです。これは世代間格差の是正にもつながると、私は考えております。では、同じ条件(基礎年金のみの30歳)で、男性だとどうなるでしょうか。
石破総理:約334万円増えると見込まれている。
塩村:女性より少し金額が低いですが、それでも受給額が334万円上がるんですね。これはつまり、世代間格差に加えて男女格差の是正にもつながるということです。では、この修正案によって何歳までの方の受給額が上がるのか、こちらもお伺いしたいと思います。
(出典:厚生労働省作成の資料より)
石破総理:男性では62歳以下、女性では66歳以下の方で生涯の年金受給総額が増えると見込まれている。
塩村:就職氷河期だけでなく、若者から62歳、66歳まで、幅広い世代にとってプラスになるわけです。なお、それより上の年代の方に関しても、今回の修正案では法律案の附則に「最大限の手当て」と明記されております。これは、5年後の財政検証の結果を見て対応がなされるということで、ここもしっかり強調したいと思います。次に、今回の修正案が成立しなかった場合に懸念されることについて、端的にお答えいただけたらと思います。
石破総理:今後、仮に経済が好調に推移しない場合、基礎年金のマクロ経済スライドの調整期間が30年余り続くことになり、年金水準が低下するおそれがあると確認されている。
塩村:水準が下がるということは、高齢者の貧困率が上がってしまうということになるわけです。そうすると、生活保護給付のために追加的な税負担が生じると指摘されております。一方で今回の修正案に関しては、そんなプラスのことばかりあるのか、財源が心配だという声も聞かれます。そこでお伺いしますが、現在の国庫負担額と、マクロ経済スライドが早期終了した場合の2052年の国庫負担額を教えてください。
石破総理:令和6年度財政検証によると、2025年度の国庫負担額は13.4兆円である。一方、実質ゼロ成長を見込んだケースにおいて、マクロ経済スライドを早期に終了させた場合、2052年度の国庫負担額は現在価値で換算して13.4兆円と、おおむね同水準と見込まれている。なお、この値は、早期終了措置を行わなかった場合より約1.9兆円多くなっていると考えている。
塩村:2052年は現在価値相当で、ということで、多少の数字の前後もあるかと思いますが、ここで大事なのは、現在の国庫負担額を保っていくことができれば、皆さんの年金がしっかり守られることにつながるということです。また、遺族年金に関しても男女格差をなくしつつも、現在既に受け取っている方々が守られるような改正が行われています。
たとえば配偶者と死別をした場合、現行でも60歳以上で男女ともに遺族年金が無期限給付となりますが、見直しでは60歳未満で男女ともに原則5年となり、男性遺族の方・1万6000人が新たに対象となります。女性は、現行法では30歳以上であれば無期給付となっていますが、これは女性が専業主婦だった昭和の時代につくられた制度で、今は時代が大きく変わっています。しかも、2028年から20年掛けて移行することとなっており、2048年にはより多くの女性が専業主婦ではなく仕事を持つ時代になっていると見込まれます。また、配慮要件もありまして、収入が低いなどといった方は5年以上の受給もできることになっています。
(出典:厚生労働省作成の資料より)
また、お子さんがいらっしゃる方への加算も予定されています。これまでお子さん2人までは1人につき年額23万4800円で3人目以降は7万8300円に減額されていましたが、見直し後は3人目以降もすべて28万1700円となっています。長々と説明しましたが、残されたお子さんや配偶者を守るきめ細やかな改正が行われています。しかしSNSを中心に、こうしたことを知らない方もたくさんいらっしゃって、バッシングが続いています。制度が難しいので、政治家の側も正しく内容を把握していないということもあるかと思いますが、国民を不安に陥れることがあってはいけないので、今後の対策があれば教えてください。
石破総理:この制度は難しい。街頭で5分で説明できますか、と政府の中でも申し上げている。しかし、難しいから分からぬではしようがない。どうやったら分かっていただけるかという責務は政府の側あるいは法案を提出した側にもあると思っているので、共にスキルの向上に向けて努力をしていきたい。
塩村:ありがとうございます。是非、政府や総理の方にはしっかりと正しい発信を、伝える努力をしていただきたいと思いますし、私たちも修正を行った者としてしっかりと皆さんに伝えるための時間を取らせていただきました。そして、メディアの方にも正しい情報を是非伝えていただきたいなと感じています。よろしくお願い申し上げます。
塩村:私は元消防団員なんですが、団員は平日も休日も、昼も夜も様々な活動があり、本人だけではなく、家族の理解と協力がなくては活動が成り立ちません。そこで総務大臣にお伺いしたいと思います。永年勤続表彰に際し、現在は表彰状とか金杯、銀杯を皆様にお渡ししていますが、御家族の方々にも理解を得て、新しく入団される方を増やすために、例えば文化芸術に触れることができる博物館や美術館のチケットであるとか、あとは実際に、たくさんの方から頂いた声ですが、ディズニーランドのチケットなどがあれば家族ももっとモチベーション高く応援してくれるんだけどという意見もあります。こういった声に応えていく、後押しをお願いしたいのですが。
村上総務大臣:自治体においては、御家族に対して表彰状とカタログギフトなどの記念品を授与する表彰制度を設けるなど、いろいろ創意工夫をしている例もあると承知している。総務省・消防庁では、こうした事例を周知して各自治体に参考にしていただき、消防団員が御家族の理解を得ながら、やりがいを持って活動できる環境づくりに是非取り組んでいただきたいと考えている。
塩村:ありがとうございます。そして、あとは要望にとどめますが、消防団員も高齢化が進んでおり、それに対応した資機材、例えばホースも軽量ホースなどが出ているので、入れ替えのときにそういったものを導入していただけるとありがたいとの声もありました。あとは操法大会ですが、政治家が挨拶している途中に何人もの方が倒れてしまって、「可能であれば、御挨拶ではなくて紹介にとどめてもらえると本当に有り難いんだけどな」「政治家の先生には言えないんだけれども、塩ちゃんは消防団員だったから伝えるよ」って言ってくれて。なので皆さん、地元では「紹介でいいよ」と言ってもらえると、みんな喜んでもらえると思います。消防団員の確保のためにも、協力をよろしくお願いします。
塩村:残り2分となったので、これも要望にとどめます。介護の人材確保がとても深刻になっており、特に山間部、中山間部の方からは、介護人材の公務員化も必要ではないかと聞こえてきています。質疑している時間はもうないですが、真剣に受け止めていただきますように総理にお願いをしておきます。ありがとうございます。深くうなずいていただきました。
塩村:最後に、痛くない乳がん検診について取り上げたいと思います。日本人女性の胸は乳腺が多く、従来のマンモグラフィーでは痛みを感じやすい上にがんの発見が難しく、死亡率も上がってきていると、日本乳癌検診学会理事の方が指摘されています。そんな中で、痛くなく、胸を触られることも見せることもないMRI、ドゥイブス法というんですが、この検診方法が人気になっており、滋賀県彦根市では500人の無料募集を行ったところ、たったの数日で全ての枠が埋まったそうです。それだけ時代に、女性に求められている痛くない乳がん検診を、是非総理に応援していただきたいのですが、よろしくお願いします。
石破総理:(マンモグラフィーについて)あんな痛い思いは二度としたくないという方が大勢いらっしゃる。では、MRIではどうなのかというと、それは死亡率減少効果が明らかになっていない。色々な説があるが、とにかくそれを徹底的に検証し、女性の方々の御意見も承りながら、今47.4%の受診率を60%まで上げるための取り組みを急ぎたいと思っている。
塩村:ありがとうございました。終わります。