トクリュウ、人身売買……法制度など見直しを ~内閣委員会~

去る11月20日に内閣委員会が行われました。
塩村はトクリュウ対策や人身取引の問題を中心に、木原稔官房長官、黄川田仁志大臣、あかま二郎国家公安委員長らと質疑しました。

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https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=8736
塩村の出番は「 0: 31: 40」ごろからです。

当日の質疑の内容は以下の通りです。

 

【中国による水産物輸入停止】

最初の質問は前日(19日)に報じられた、中国政府による日本産水産物の輸入手続きの停止についてです。
台湾有事を巡る高市首相の国会答弁への対抗措置ではないか、と指摘されていますが、官房長官はどう受け止めているのでしょうか?

塩村:出荷が再開していた日本の水産物の輸入を中国が事実上停止したというニュースが昨日夕刻に流れました。中国側は対外的に今回の措置を、台湾有事をめぐる高市総理の国会答弁と結び付けて説明をしていますが、官房長官の受け止め、そして今後の対応を聞かせていただきたいと思います。

木原官房長官:今月の5日に中国による輸入再開の発表後に第一便となる輸出が実施されたことを受け、中国側とは技術的なやり取りを継続している。その逐一について明らかにすることは控えるが、日本産水産物の輸入を停止するとの連絡を中国政府から連絡を受けた事実はない。政府として昨年9月に日中両政府で発表した、共有された認識をしっかり実施していくことが何より重要であり、引き続き中国側に対して、現在申請中の輸出関連施設の速やかな再登録を含む輸出の円滑化を働きかけていくとともに、残された10都県産の水産物の輸入規制の撤廃等を強く求めていく。

塩村:19日の記者会見で中国外務省の毛寧報道官は、中国民衆の強い怒りを招いたと指摘をして、現在の状況下で日本の水産品を中国に輸出としても市場はないだろうと指摘しています。ですので、連絡があったわけではないとおっしゃいますが、そのような記者会見が行われていることを考えると、今の官房長官の答弁には少し違和感を覚えるところです。いずれにしても、総理の発言が招いた事態と思っておりますので、あらゆる方面の危機管理をしっかり行って、これ以上の危機を招かぬようにお願いを申し上げます。

 

【選択的夫婦別姓について】

新たに男女共同参画担当大臣に就任した黄川田仁志氏は選択的夫婦別姓に反対のスタンスですが、その立場に変わりはないのでしょうか。女性の選択肢を増やすことは家族の選択肢を増やし、女性のキャリア断絶の改善にも寄与するものです。
黄川田氏にも応援を求めました。

塩村:これは2021年の記事ですが、自民党の国会議員が地方議会の議長に選択的夫婦別姓の導入に賛同する意見書を採択しないように求めたとの内容を報じたものです。黄川田大臣にお伺いしたいと思いますが、この文書に名を連ねたでしょうか。

黄川田大臣:この文書に名を連ねたのは事実である。

塩村:ありがとうございます。黄川田大臣の担当は女性活躍や男女共同参画であり、この選択的夫婦別姓というものを是非応援をしていただきたと私は思っています。今、選択的夫婦別姓は世界の中でもスタンダードになっており、逆に、強制的に同姓をしているのは日本だけという状況です。男女共同参画の観点から、少なくともこの議論にブレーキを掛けるとか、そういったことだけはないようにお願いしたいのですが、大臣、いかがでしょうか。

黄川田大臣:婚姻等による氏の変更によりいろいろな問題があったり、選択的夫婦別姓制度、また旧姓の通称使用拡大、そういうものも様々な御意見があると思う。いずれにせよ、男女共同参画、これを推進していく、そして女性活躍を推進していく、その立場は変わらない。

塩村:ありがとうございます。大臣は所信の中で、女性活躍、男女共同参画は多様性が尊重される社会の実現とおっしゃっています。選択的夫婦別姓というのはまさに、多様性に資するものであると思います。私は先日の本会議で、総理の所信表明演説に対する質疑に立たせていただきました。その中で、女性の痛みをなくし、努力が正当に報われる社会を実現できるようにお願い申し上げました。正当に努力が報われるという点では、仕事をしている女性たちは、途中で姓が変わることでキャリアの断絶につながる部分もあるわけです。通称使用で良いじゃないかという方も多いかもしれませんが、海外で活躍をしようと思えばそういうわけにいかないことも多々あると、すでに指摘もされているわけで、日本だけが遅れているような状況は正していくべきでないか。強制的にどうかしろという話ではなく、選べる環境をつくっていこうという話ですから、大臣にも今後是非色々考えていただき、日本が世界から遅れることがないようお願いを申し上げておきたいと思います。

 

【トクリュウ対策について】

警視庁の警部補が、トクリュウに取り込まれ逮捕されるという事件が起きました。
重大な情報をトクリュウに流した結果、重要人物が逮捕の直前に逃亡し、未だ行方がわかっていません。
しかし、金銭の授受の立証が難しいために、収賄ではなく量刑の軽い守秘義務違反での立件となってしまい、トクリュウに「成功体験」を与えたも同然の状況です。
あってはならない事態であり、警察が今後どのように信頼回復に務めるのかを問いました。

塩村:これはちょっとゆゆしき事態で、警視庁の警部補がトクリュウに取り込まれて逮捕をされたという事案になります。報道によると警視庁は当初、贈収賄容疑での立件も視野に入れて捜査したものの、地方公務員法違反と守秘義務違反での逮捕にとどまったとのことです。相手方とされているスカウトグループ「ナチュラル」はトクリュウであり、2022年だけで約45億円もの収益を上げたと報じられています。トクリュウや国際犯罪組織の活動は活発になっており、例えばマニラでは、日本人が首謀して日本人を射殺するという事件も発生しています。国内外でこうしたトクリュウに関する被害が拡大をしている現状に関して、官房長官に受け止めと対応についてお伺いしたいと思います。

木原官房長官:治安対策上の喫緊の課題であるとの認識を持っている。また、トクリュウが特に東南アジア各国に所在する拠点から特殊詐欺を敢行している実態も見られ、海外の捜査当局とも連携しながら、その実態の解明を強く進めていく必要があると認識している。政府においては本年4月の犯罪対策閣僚会議で策定された「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」に基づく取り組みを一体となって進めているところであり、トクリュウの撲滅を目指していく。

塩村:この問題を取り上げていく中で、いつも感じているのが省庁の壁です。質問をすると、「いや、外務省に聞いてくれ」「いや、警察庁に聞いてくれ」といった感じで、ちょっとうまくいっていないんじゃないかなというところも見受けられます。そうこうしているうちに、日本が当事国として世界に被害を拡大させているような状況にもなっていますので、官房長官にはぜひ横串を通していただき、各省庁がしっかり取り組む形で解決を図っていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

次に、事実関係についてお伺いしたいと思います。警視庁は当初、より重い収賄の容疑での立件も視野に入れて捜査を進めながら、最終的には守秘義務違反での立件となりました。 なぜ贈収賄罪としての検挙に至らなかったのか、金銭授受の有無やトクリュウと接触を含め、政府として、警察としてどのように把握をしているのか、説明を求めます。

あかま国家公安委員長:現在捜査中の個別の事件に関することであり、その具体的な内容については回答を差し控えさせていただきたいと思う。

塩村:報道によると、お金の流れの解明が困難であり、立件が難しいためと伝えられています。予算委員会で、公明党の窪田先生も質問をしてくださいましたが、国家公安委員長はその時、「判明した事実関係に即して厳正に対処する」と答弁されています。その具体的な内容や今後の方針について教えてください。

あかま国家公安委員長:警視庁において、捜査、調査を尽くし、明らかになった事実関係に即して当該職員に対する厳正な処分を検討することになると承知している。

塩村:こういった議論をしている時に、よく警察の方から示されるのが「法と証拠に基づいて対応する」ということですが、その認識でよろしいでしょうか。

あかま国家公安委員長:そのような認識で結構である。

塩村:ということはつまり、法と証拠に基づいた結果、守秘義務違反でしか問えなかったということかと思うんですね。守秘義務違反の多くは1年以下の懲役か罰金にとどまる一方で、収賄罪は5年から15年以下の懲役と、法定刑の重さが格段に違うわけです。公務の公正をゆがめる汚職行為を、それだけ重く位置付けているのだと私は認識しています。ところが今回の事案のように、実態として極めて収賄に近いとの疑いが指摘されていながら、立証のハードルが高いという理由で、守秘義務違反での立件にとどまって良いのかなと。厳しく制度をつくっても現場では軽い罪にしかならないという、このギャップが汚職する側やトクリュウの側に見透かされてしまうのではという懸念を私は持っています。公務の汚職を本来あるべき重さで問うために、捜査手法の課題や改善点など、あれば教えていただきたいのですが。

あかま国家公安委員長:公務員の汚職については、贈収賄事件がその典型だが、密室で行われることが多く、通常は目撃者の証言などが期待できない。犯罪事実の立証が容易ではない中にあって、警察においては、犯行を裏付ける各種証拠の収集に努めるとともに、不正の実態に応じて様々な刑罰法令を適用するなど、公務員の汚職の摘発に努めている。

塩村:答弁を聞いて、「大丈夫かな」と思いました。トクリュウというのは匿名・流動型犯罪グループの略であり、文字通り金銭の授受なども含め、全ての記録や証拠が残りにくいことを前提にビジネスモデルが組み立てられているわけです。いくら警察がトクリュウ対策を「治安上の最重要課題」だと言っても、法と捜査の側がビジネスモデルに追い付いていない状況になっていると思います。つまり、抑止力が働いていないわけです。贈収賄の立証が困難であることを理由に現状を放置せずに、トクリュウ対策の観点からも、より重い罪で問えるように、法制度や運用の見直しを行うべきではないかと思うのですが、答弁を求めます。

あかま国家公安委員長:現在まさに捜査中の個別の事件に関することであり、その捜査状況や見通しについての回答は差し控えさせていただくが、いずれにせよ、捜査情報を漏えいした警察官に対しては、犯罪の実態に照らした上であらゆる法令を駆使し、法と証拠に基づいて厳正に対処していきたいと思う。

塩村:見直してほしいと思います。このまま行くと、トクリュウにとっては「成功体験」となってしまいます。捜査手法の見直しも必要だと思いますし、罪の重さに合った刑罰などを考えていく必要もあるのではないかと思っておりますので、要望したいと考えます。次に、黄川田大臣にお伺いしたいと思います。今回の事件のスカウトグループ「ナチュラル」は、悪質ホスト商法で借金を背負った若年女性らを違法に風俗店に送ったり売春させたりして、女性の体を使ってお金を生み続けるというビジネスモデルをとっています。これは経済的困窮や人間関係の脆弱さに付け込んだ性暴力や性搾取であると私は考えています。男女共同参画の担当大臣としてこの種のビジネスモデルをどう考えているのか、大臣御自身の言葉でお答えください。

黄川田大臣:個別の事案についての見解を述べることは差し控えたいと思うが、一般論として、売春等を強要されるなど性的に搾取されることは、女性の尊厳を傷つける行為であり、絶対許されるものではない。このため、そもそも被害が発生しないように取り組むことが大切だと考えている。性的搾取の防止に関するポスター、動画等を作成して需要側への啓発を推進しているところである。また、性犯罪・性暴力対策の更なる強化という方針に基づいた政策、施策を着実に実行していく。被害を受けた方への支援の充実も図っていきと考えている。

塩村:ありがとうございます。支援の充実、是非お願いしたいと思います。

 

【タイ人少女人身取引事件について】

日本は世界の先進国の中でも人身取引への罰則が軽く、その量刑は万引き並みと各国・支援団体から批判を受けています。
今回のタイ人少女の事件も「人身売買」であることは明らかですが、職業安定法や児童福祉法での検挙に止まっています。
買う側の罰則が軽い限り、今後も日本は人身売買の当事国となる、恥ずべき状況が続きます。
まっとうな先進国であり続けるため、立憲民主党では人身売買厳罰化のための法案を提出します。

塩村:タイ人の12歳の少女が性的マッサージ店で働かされていたという事件についてです。彼女は母親と来日した後、一人で日本に残されて、在留資格もないままに性的就労を強いられていたという事案で、海外では「日本は性的サービスのため小学生を人身売買している」と報じられています。人身売買の当事国としてどう受け止めるか、官房長官にお伺いします。

木原官房長官:御指摘の事案は捜査中なので、一般論として申し上げると、人身取引は重大な人権侵害であるとともに、これは深刻な国際問題であり、その対策は政府の重要課題の一つであるとの認識を持っている。政府としては、令和4年12月に決定した人身取引対策行動計画2022に基づき、関係省庁が連携して、取締りと被害者の保護、支援等の取組を進めているところである。今後も、政府一丸となって行動計画に基づく取組を進め、人身取引の根絶を目指していく考えだ。

塩村:今回の件はれっきとした人身取引、人身売買ですが、母親は児童福祉法で検挙され、買った店の側は職安法で検挙されています。なぜ人身売買罪に問えていないのか、お伺いをしたいと思います。

政府参考人(警察庁):御指摘の事案については、人身取引議定書第3条に規定された人身取引事案に該当するものと見て、現在、全容解明に向けて警視庁が捜査をしているところである。個別の事件の捜査の詳細については回答を差し控えるが、一般論として申し上げると、どの法令を適用するかについては個別具体的な事実関係に即して判断されるべきものと承知をしている。警察としては、刑法を含むあらゆる法令を駆使して人身取引事案の検挙を推進しているところ、引き続き、人身取引は重大な人権侵害であるとの認識の下、法と証拠に基づいて厳正に対応していきたいと考えている。

塩村:御答弁は「はい、そうですね」と思いますが、結果として人身取引では検挙できていないわけです。この場合、人身取引の数にカウントされず、統計に上がらずに、人身取引が「ない」状態になっていることが一番の問題だと思います。アメリカだと、こうした人身取引の量刑は最長20年から終身刑で、イギリスは最長14年で終身刑も可。ドイツと韓国も最長15年ですが、日本は罰金刑から10年という、万引き並みの刑罰になっています。代わりに労基法や児童福祉法、職安法で処理して執行猶予になってしまっているという現実があるのですが、私はこれ、問題ではないかなと感じています。こうした事案を、しっかり正面から「人身売買」として処罰ができるようにしていく必要があると思いますが、国家公安委員長の考えをお伺いします。

あかま国家公安委員長:警察における法令の適用については、個別の事案ごとにその事実関係に即して判断しており、ある行為が構成要件上、刑法第226条の2に規定された人身売買罪に該当する場合については、法と証拠に基づき取り締まってきたところである。その上で、人身売買罪は人身取引事犯に該当し得る行為のうちの一つであるところであり、人身売買罪や他の法令で検挙した人身取引事犯に関する統計については、毎年、人身取引対策推進会議において取りまとめており、報告書も作成している。引き続き、刑法を含めたあらゆる法令を駆使した人身取引事犯の取締りと被害者の保護、そして支援等の取り組みを進めるよう、警察を指導していきたいと思う。

塩村:その「あらゆる法令」がきちんと機能していないからこういうことになっているわけで、「指導」していただきたいのは、いろいろな見直しだと私は思っています。私たち立憲民主党は、人身売買の厳罰化に関する法案を準備をさせていただいています。その法案の趣旨には、現在人身取引が数多く発生しており、近年は被害者も増加傾向にあると書かせていただいています。また、とりわけ多くの児童がわいせつ目的の人身取引の被害者になっており、加害者を適正に処罰して人身売買の発生を抑止するため、法定刑を引き上げる必要があるとも記しております。これに賛同していただけるか、国家公安委員長、そして官房長官にお伺いします。

木原官房長官:議員立法なので、政府の立場としてその賛否はこの場では控えたいと思うが、人身取引は重大な人権侵害であり、深刻な国際問題であると先ほど申し上げた。その対策は政府の重要課題の一つであるという認識の一方、委員御指摘の人身売買罪の法定刑については保護法益の共通する略取、誘拐の罪の法定刑との均衡を踏まえて定められているものと承知をしており、その在り方については、そうした均衡の観点から慎重に検討されるべきものと承知している。いずれにしても政府としては、引き続き人身取引の根絶を目指す。

あかま国家公安委員長:同様に、議員立法であるので国家公安委員長の立場からの回答、言及は控えさせていただくが、その上であえて申し上げるならば、私としても人身取引に対して厳正に対処していく、この認識に変わりはない。引き続き、人身取引は重大な人権侵害であるという認識の下、関係機関と連携して、人身取引事犯の取締り、被害者の保護および支援等の取り組みを進めるよう警察を指導していきたいと考える。

塩村:引き続き取り組んでいきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

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