5月19日(火)、参議院内閣委員会にて、塩村あやかが参考人質疑を行いました。
・参考人質疑とは?
皆さん、一般的に国会における質疑は、
予算委員会のような、「議員」VS「政府(大臣等)」を思い浮かべるのではないでしょうか?
今回塩村あやかが行ったのは、「参考人質疑」です。

【国会解説】「対政府質疑」と「参考人質疑」の違いとは?
〜より深い議論のための特別な1日〜
国会中継などでよく目にする「与党(政府)を厳しく問い詰めるシーン」だけでなく、
実は国会には、法案を別の角度からじっくり検証するための
「参考人質疑(さんこうにんしつぎ)」という大切な仕組みがあります。
本日、塩村あやかが臨んだ「参考人質疑」が、普段の「対政府質疑」とどう違うのか、分かりやすく解説します。
1. 普段の「対政府質疑」とは?
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相手: 内閣総理大臣や各省庁の大臣(政府側)
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目的: 政府が提出してきた法律案について、「本当にこの内容でいいのか」「問題点はないか」を問い、政府としての見解や責任ある約束(答弁)を引き出すこと。
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特徴: 攻防の色合いが強く、野党は政府の矛盾や説明不足を厳しく追及する「チェック機関」としての緊張感が漂います。
2. 本日行われた「参考人質疑」とは?
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相手: 法律の専門家、大学教授、元政府高官など(民間・実務のプロフェッショナル)
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目的: 政治の立場(与野党)を一度離れ、「その道の第一人者」から、客観的な意見や専門知識、現場の本音を教えてもらうこと。
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特徴: 政府の作った法律を「通す・通さない」の議論ではなく、「この法律がもしできたら、私たちの社会や生活はどう変わるのか」を、より長期的な視点や歴史的な背景、海外の事例と照らし合わせて深く勉強し、議論を深める場です。
例えるなら…「学校のルール作り」
学校で「生徒の安全のために、スマホの校内持ち込みを禁止にする」という新しいルール(法案)を検討しているとします。
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「対政府質疑」は… 生徒会(野党)が、学校(政府)に対して「なぜ禁止にするのか!」「持ち込めないと緊急時に困るのではないか!」と厳しく問いただす場です。
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「参考人質疑」は… ルールを決める前に、「ITの専門家」「子供の心理に詳しいカウンセラー」「他校の元先生」などを学校に招いて、「スマホを禁止にすると、どんなメリットやデメリットがあるか、客観的なプロの意見を聞かせてください」と意見を聞く場です。
今回審議された「国家情報会議設置法案」に関する参考人質疑は、
国が扱う情報や、私たちのプライバシーに深く関わる極めて重要な法案(重要広範議案)です。
政府は「今回は組織を作るだけだから、人権を守るための細かいルール(歯止め)は後回しでいい」と説明しています。
しかし、塩村あやかは今回の参考人質疑を通じて、賛成派・反対派それぞれの専門家から、
「海外の国々では、情報組織を作るときには最初から強力な歯止めや、国会による監視ルールがセットで法律に組み込まれている」という貴重な知見(証言)を引き出すことができました。
このように、参考人質疑で得られた「プロの客観的な意見」は、今後の対政府質疑で、政府に対して「専門家もこう言っているが、なぜ日本だけルールを後回しにするのか!」と迫るための、非常に強力な武器(根拠)になります。
良識の府・参議院として、ただ法律を右から左へ通すのではなく、専門家の知見を最大限に活かして、国民の皆さんが安心できる法律へと練り上げていくために、塩村あやかは引き続き全力を尽くします!

動画はこちらから
塩村委員の質疑は2番目です。
1. 北村 滋 氏(元国家安全保障局長/推進派・実務家)
立場と主な意見
政府インテリジェンス体制の確立を長年主導してきた「推進派」です 。
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法案への評価: 役所の縦割りを排し、官邸直属の「国家情報局」へ各省庁の情報アクセス権(提出義務)を法的・制度的に担保した点や「国家情報会議」による民主的統制の導入を高く評価しています 。
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憲法との関係: 情報活動は現行憲法の枠内で行われるものであり、外国のような暗殺や政権転覆(謀略)は一切想定せず憲法とは全く矛盾しないと主張しています 。
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その他: 情報活動に伴う事故や不祥事の「政治的責任」を明確にするため、首相や官房長官と切り離された「情報活動担当相」の設置を求めています 。また収集した情報に基づく情勢評価を「年に一度など、国会で報告する仕組み」の検討を提言しています 。

北村滋 参考人。
塩村委員からの質問・意見
「情報を集約・分析し政府の意思決定を担う中枢機関である「国家情報会議」に対し、政府が監督・統制の仕組みを明確にせず、将来の検討課題にとどめている現状を問題視しました。将来の対外情報機関には国会の情報監視審査会によるオーバーサイト(監視)が想定されるならば、本会議の設置時にも監視体制を同時に制度化すべきではないかとただしました。さらに、対外情報庁やスパイ防止法といった国論を二分する議論が先送りされ、国家情報会議だけが先行して運用される場合の国民の不安を指摘。少なくとも施行後2〜3年以内に、国会への定期報告や独立した監督機関の設置に向けた明確な方向性を法律上設定しておくべきではないか。」
2. 小谷 賢 氏(日本大学危機管理学部教授/賛成派・研究者)
立場と主な意見
国際政治・インテリジェンス研究の第一人者であり、地政学的リスクへの対応から司令塔新設を支持する「理論的賛成派(実務重視)」です 。
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法案への評価: トランプ米政権の動向による不確実性や台湾有事を見据え、米国依存を脱した「日本独自の司令塔(自前での集約・分析)」は待ったなしであると肯定しています 。
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課題の指摘: ただし、日本のインテリジェンスの最大の弱点は「分析能力の低さ(縦割りによる冗長な報告、専門家キャリアの欠如)」であると厳しく指摘しています 。
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法制への持論: 未然抑止(防諜)のためには、欧米のような「外国代理人登録法」や「行政通信傍受」の導入を検討すべきとする一方、これらは憲法第21条(通信の秘密)やプライバシー侵害への世論の反発が強く、ハードルが高いことも認めています 。

小谷 賢 参考人。
塩村委員からの質問・意見
「今回の「国家情報会議・国家情報局」の設置において政府による説明や国民の理解形成が不十分である現状を指摘しました上で、この段階を曖昧にしたまま、さらにハードルの高い「対外情報庁の創設」や「スパイ防止法」の議論へ突き進むことは、制度の進め方として適切なのかと疑問を呈しました。 その上で、参考人が過去のインタビュー等で「首相による積極的な説明の必要性」や「国政選挙で真を問うべき重要性」に言及していた点を踏まえ、時の政権に最低限求められるアカウンタビリティ(政治説明)とは具体的にどのような内容であるべきか、今後のインテリジェンス改革の順序やあり方も含めて、見解を求めた」
3. 海渡 雄一 氏(弁護士・秘密保護法対策弁護団/反対派)
立場と主な意見
人権擁護、市民監視社会化への警鐘を鳴らす「反対派」です 。
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法案への評価: 本法案は「市民総監視」につながるものであり、憲法第13条(プライバシー権)、第19条(思想・良心の自由)、第21条(表現の自由)等に違反し、基本的人権の観点から絶対に認められないと主張しています 。
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立法事実の否定: 石破総理(当時)の答弁書を引き、「日本は野放しのスパイ天国ではない」とし、組織新設の立法事実(必要性)がないと断言しています 。
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連なりの警戒: 今回の国家情報局(第1弾)の後に、厳罰化スパイ防止法や外国代理人登録法(第2弾)、対外情報庁(第3弾)という「戦争をする国づくりのための総仕上げ」が控えていると警鐘を鳴らしています 。
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判例の重視: 公安警察や自衛隊情報保全隊による市民監視を違法とした「名古屋高裁大垣署事件判決(令和6年9月13日)」や「仙台高裁自衛隊事件判決(平成28年2月2日)」を国会審議で参照すべきとし第三者監視機関(ツワネ原則)の不在を論外としています 。

海渡 雄一 参考人。
塩村委員からの質問・意見
「海外情報機関に対し独立監察や議会監督などのチェック機能が常識である一方、政府が「組織法だから」と統制や歯止めの法制化を後回しにする姿勢を問題視しました。インテリジェンスの強化自体に明確な反対がないからこそ、「組織の新設」と「不当な市民監視を防ぐ歯止め」はセットで明文化されなければ国民の不安や政治不信を招くと主張。組織を先行させ統制を将来の検討課題とする手法は、国民理解の面からも海外の基準からも不適切ではないかとただしました。その上で、国民の安心と民主的統制を両立させるために、諸外国の厳格な監督制度や法的な工夫から日本が学ぶべき事案やアドバイスについて、参考人の見解を求めました 。」

以下、未定稿の会議録です。(一部抜粋)
◆本未定稿は、審議の参考に供するためのものであり、正規の会議録ではありません。
◆今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、御留意ください。
令和八年五月十九日(火曜日)(未定稿)
午前十時開会
○委員長(北村経夫君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
国家情報会議設置法案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、北村エコノミックセキュリティ合同会社CEO・元国家安全保障局長・内閣特別顧問・元内閣情報官北村滋君、日本大学危機管理学部教授小谷賢君及び弁護士海渡雄一君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。
本日は、御多忙のところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、北村参考人、小谷参考人、海渡参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず北村参考人からお願いいたします。北村参考人。
○参考人(北村滋君) 私は、国家情報会議設置法案につきまして、主として情報統合と統制の制度化という観点から、賛成の立場から意見を申し述べます。
現在の安全保障環境において、軍事、外交、経済、技術、サイバーその他の分野にまたがる情報を政府全体として統合し、適時適切に政策判断へ結び付ける体制が不可欠であります。他方で、我が国の情報機能は各省庁に分散しており、制度上の統合と統制が十分でないという課題を抱えてまいりました。
本法案の内容は、内閣に国家情報会議を設置し、その事務を担う国家情報局を内閣官房に置くことにより、重要情報活動及び外国情報活動への対処に関する司令塔機能を制度上明確化しようとするものと理解しております。
以下、第一に情報活動に対する政治的統制、第二に情報統合機能の強化、第三に政策部門と情報部門との役割整理、第四に情報保全制度との接続と国際連携の観点から賛成の理由を申し述べます。
第一の柱が国家情報会議の設置と情報活動に対する統制であります。
本法案の第一の意義は、秘匿性の高い情報活動について、政治レベルの統制を法制度の中に明確に位置付ける点にあります。
法案では、国家情報会議を内閣に設置し、内閣総理大臣が議長を務めることとされています。また、内閣官房長官、国家公安委員会委員長、法務大臣、外務大臣、財務大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、防衛大臣などが議員として参画することとされております。
この仕組みは、情報活動を一部の実務機関に委ねるのではなく、政府全体の責任において取り扱う枠組みを明確にするものであります。情報活動の強化は必要ですが、その正当性を支えるのは、権限そのものではなく、適切な統制の仕組みであります。
その意味で、国家情報会議を法定の機関として位置付けることは明確な意義があります。もっとも、将来における情報収集権限や活動領域の拡張のありようによっては、行政府内の統制だけでは十分でなくなる可能性も出てまいりましょう。その際には、国会による監視や検証の在り方についても議論がなされるものと考えております。
しかしながら、そのことを前提としても、本法案は情報活動の制度化に向けた重要な第一歩として評価できるものと考えます。
二つ目の柱は、情報統合機能の強化についてであります。
第二の意義は、各省庁に分散している情報を政府全体として統合的に取り扱うための法的基盤を整える点にあります。
従来の我が国の情報体制では、各機関がそれぞれ情報を保有していても、それを横断的に集約し、分析し、政策判断に結び付ける制度が十分であったとは言い難い状況にありました。
本法案では、この課題に対し、国家情報会議と国家情報局を制度上位置付けることで対応しようとしております。とりわけ、法案第七条は、内閣官房長官及び関係行政機関の長に対し、会議の調査審議に資する資料及び情報を適時に提供することを求め、さらに、議長の求めに応じて説明その他必要な協力を行わなければならないと定めております。これは、省庁間の情報共有を慣行に委ねるのではなく、法的義務として明確にしたものと言えます。
また、国家情報局は、会議に関する事務を処理するだけでなく、重要情報活動及び外国情報活動への対処に関する企画立案、総合調整、内閣の重要政策に関する情報の収集調査などを担うものとされております。
情報統合は、個々の機関の機能や専門性を否定するものではなく、それぞれの知見を政府全体の判断へ結び付けるための仕組みであります。その意味で、本法案は組織法上の基盤整備として支持し得る内容を備えていると考えます。
三番目の柱は、政策部門と情報部門の役割整理についてであります。
第三の意義は、政策立案を担う部門と情報収集、分析を担う部門との役割分担を制度上より明確に整理しようとしている点であります。
情報分析は政策判断に資するものである一方、政策の都合に過度に従属すれば、その客観性が損なわれるおそれがあります。したがって、両者の適切な距離と関係を制度として整えることが重要であります。
本法案では、国家情報局長を法的に位置付けることにより、情報機能の責任主体をより明確にするものと理解できます。これまでの体制では、情報の集約や評価が制度よりも運用や個人の力量に左右されやすい面があると指摘されてきました。国家情報局長を制度上明確に位置付けることには情報機能の安定性と継続性を高める意味があります。
一方、不肖私は、国家安全保障局長、内閣情報官として、政策部門と情報部門の双方の事情を存じております。この観点から見ましても、本法案が両部門を対立させるものではなく、両者の役割を整理し、より適切な関係を築くための制度整備であると考えるところであります。
四番目の柱は、情報保全制度との接続と国際連携であります。
第四の意義は、既存の情報保全制度と接続しつつ、国際的な情報連携の基盤を強化する点にあります。
現代の安全保障上の脅威は国境を越えており、情報連携の重要性は一層高まっております。我が国では、特定秘密の保護に関する法律に加え、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律が施行されており、機微情報を保護し活用するための法制度は段階的に整備されてまいりました。
本法案は、そうした制度の上に、情報を統合し分析する司令塔機能を位置付けようとするものであります。その意味で、保全と活用の双方を視野に入れた制度整備として理解することが可能です。
国際的な情報連携においては、秘密保全能力に加え、政府内で情報を統合し、継続的にやり取りできる明確な窓口の存在が重要であります。国家情報局の設置は、その基盤整備としての効果が強く期待されます。米国、英国、豪州といった同盟国、そして同志国においては、今般の我が国における情報制度改革を必ずや歓迎するものと信ずるところであります。
以上、申し述べましたとおり、国家情報会議設置法案は、情報活動に対する統制、各省庁の情報集約、政策部門と情報部門の役割整理、情報保全制度との接続、国際連携という点において、我が国をめぐる厳しく複雑な安全保障環境をして現行体制の課題に対応しようとする法案であります。もちろん、今後の審議におきましては、調査審議事項の範囲、プライバシーへの配慮、情報の中立性、監督の在り方などについて、なお丁寧な議論が必要です。しかし、これらの論点を踏まえてもなお、本法案には制度整備として強く支持すべき意義があるものと考えております。
以上をもって、簡単ではございますが、私の意見陳述といたします。御清聴ありがとうございました。
○委員長(北村経夫君) ありがとうございました。
次に、小谷参考人にお願いいたします。小谷参考人。
○参考人(小谷賢君) 皆様、おはようございます。日本大学危機管理学部の小谷賢と申します。
本日は、本委員会におきまして、参考人として意見を申し上げる機会を頂戴しましたこと、心より感謝申し上げます。
本日は、国家情報会議設置法案に賛成の立場から所見を述べさせていただきます。
私は、これまで防衛省の研究機関や大学において、日本を含む各国のインテリジェンスの制度や歴史を研究してまいりました。本日は、そのような研究に基づいた知見からコメントをさせていただけますと幸いに存じます。ちなみに、本法案内ではインテリジェンスという用語が重要情報活動と表記されておりますが、私自身、余りなじみのない用語でありますので、私の所見内ではインテリジェンスと表現させていただきますことを御容赦ください。
まず、なぜ本法案に賛成なのかという話でありますけれども、日本は、直面している国際環境の厳しさは言うまでもなく、更なる問題は、冷戦期のように、日本政府は安全保障からインテリジェンスまで全てを同盟国であるアメリカに頼れなくなってきているという現状があります。
内閣情報調査室の前身である内閣総理大臣官房調査室が創設されましたのは一九五二年の話ですが、当時の吉田茂総理と緒方竹虎官房長官は、同室をアメリカの中央情報庁、CIAのような総合的で中央集権的な組織を構想されていたと言われております。ところが、当時の報道機関や世論がこれに一斉に反対したため、同室は予算や人員、権限をほとんど与えられないまま七十年以上が経過したことになります。ただ、冷戦期には、日本は外交安全保障政策の決定のためにインテリジェンスを必要としてきませんでしたので、大きな問題とはなりませんでした。ところが、冷戦後、日本政府は、外交安全保障の分野のみならず、危機管理等の様々な分野でインテリジェンスの欠如によって対処がうまくいかなかったケースが散見されるようになります。それらは、例えば一九九八年の北朝鮮によるテポドンミサイル発射事案でありますとか、二〇一〇年代に海外で邦人がテロ組織に誘拐、殺害されるといった事案であります。
これまで日本政府はアメリカの情報提供に大きく頼ってきた経緯がありますが、アメリカにとってもインテリジェンスは機密であり、同盟国とはいえ、それを全て共有してくれるわけではありません。また、アメリカとの外交安全保障の方針が一致しない場合も、先方からの情報提供は期待できません。そうなりますと、我が国は、様々な状況を想定し、自ら情報を収集、分析、活用できるような体制を整えておく必要があると考えております。例えば、アメリカの偵察衛星の画像情報については、必ずしも日本が必要とした情報が提供されてきませんでしたので、日本も国産の情報収集衛星を打ち上げることになった次第であります。
なぜ内閣官房に国家情報会議と国家情報局を設置するのかという理由については、三点挙げさせていただきたく存じます。まずは政治主導によるインテリジェンスサイクルの確立、政府の情報活動に対する監督権限の強化、そして内閣官房への情報集約力の向上にあると考えております。
一点目のインテリジェンスサイクルの運用については、戦前からの課題でもあります。本日皆様にお配りしましたこの資料にインテリジェンスサイクルの概念図が書かれておりますので、こちらを御参照ください。
インテリジェンスサイクルとは、政策決定者が政策判断を行う際に、インテリジェンス部門に情報要求を出し、それを受けて、情報組織は情報収集、分析、評価を行い、加工済みの情報を政策決定者に提供するものであります。
昭和戦前期の日本政府や軍部においては、インテリジェンスは非常に軽視されました。これは、作戦重視、情報軽視という言葉が残っていますように、まずは政策や作戦ありきで、情報は付け足し程度の認識でありました。例えれば、あした大雨が降るという天気予報を見ておきながら、以前から計画していたキャンプを強行するようなものであります。
他方、戦後は、情報よりも閣議でのコンセンサスが重視されるようになりました。つまりは、インテリジェンス情報よりもコンセンサスのための根回しが重要になってくると考えられます。そのため、戦後長らく、総理から時の内閣情報官に対する情報要求は極めて低調であったというふうに伺っております。
イギリスなどではこのような状況を回避するために、戦時にはいわゆる戦時内閣を設置し、そこにインテリジェンスも集約して首相とごく少数の閣僚で迅速な意思決定を図るわけでありますが、これは現在では、国家安全保障会議として、我が国を含む各国で運用されているものです。
今回の国家情報会議でも、国家安全保障会議と同様に、参加する閣僚を制限し、さらには国家安全保障会議と並行的に開催されることで意思決定を円滑に進めようという方針だと理解しております。
また、総理を含む関係閣僚が国家情報会議並びに国家安全保障会議に出席することでインテリジェンスに基づいた外交安全保障分野の政策判断を経験するということになりますので、そのようなスタイルの意思決定がようやく日本にも根付くのではないかと期待しております。そうなりますと、官邸や国家情報会議から国家情報局への情報要求が発せられ、インテリジェンスサイクルを円滑に機能させることも可能となるのではないでしょうか。
二点目の政府の情報活動に対する監督権限の強化につきましては、様々なところで指摘されていますような、国家情報局が時の権力者の道具として使用されるというニュアンスとは異なる印象を私は持っております。むしろ、これまで内閣情報調査室は、政治的な監督権限、さらには政治説明から隔離されてきた印象があります。
現在の内閣情報調査室は官房長官にぶら下がっている形ですが、歴代の官房長官が内閣情報調査室の活動についてコメントしたことはほとんどありません。内閣情報調査室の方は、総理や官房長官に定期的なブリーフィングは行う一方、活動や組織について何らかの統制は受けてこなかったと思います。むしろ、今回、国家情報会議と国家情報局を直接のラインでつなぐことにより、選挙によって選ばれた政治家がインテリジェンス組織に対する監督を行う、つまりは民主的統制の強化につながるのではないかと期待しております。
他方、今後のインテリジェンス改革や不測の事態への対処においても、政治によるインテリジェンスへの関与が必要になると考えられます。例えば、一九九八年の内閣衛星情報センターの創設や二〇一三年の特定秘密保護法の制定は、当時の政権が推し進めた成果でもあります。
また、今後、海外で日本の国家公務員が逮捕された、若しくは国内で世論を二分するような偽情報が流布されたといったような事態も想定されます。これら事態が生じた場合、事務方である国家情報局では政治的な対処ができませんので、その上部組織となる国家情報会議で政治レベルの解決策を提示する必要性があります。そして、政治的な判断から解放されました国家情報局は、本来の任務である情報収集、分析、集約業務に専念できるものと考えます。
三点目の情報集約力の向上については、今回設置されます国家情報会議の権限として、各省庁は会議のために必要があればインテリジェンス情報を提供することが明記されております。そして、国家情報会議の事務をつかさどる国家情報局が新たに付与された総合調整権限によって、実質的には情報局が各省庁からの情報を集約することになります。
これまでの内閣情報調査室は、各省庁に対する連絡調整の権限しか持っていなかったため、言わばお願いベースで情報提供を促していた形になりますが、これでは内調に情報は集まりませんでした。そのため、中曽根政権期の一九八六年には内閣官房に合同情報会議を設置したり、第二次安倍政権期の総理ブリーフィングの強化等によって各省庁のインテリジェンス情報を内閣官房に集約しようとしてきたわけでありますが、どれも運用上の工夫であり、また各省庁も必要があれば総理秘書官等を通じて官邸に直接情報を上げるラインが整備されていたため、総論としては、必要な情報が全て内閣官房に集約されていたとは言い難い状況が続いておりました。
インテリジェンス分析の分野では、オール・ソース・アナリシスと言いまして、情報提供者からの情報、ヒューミント情報、通信傍受情報、シギント情報、衛星画像情報、ジオイント情報、公開情報、オシント情報、全てのこういった情報を集約し分析することで確度の高いインテリジェンスが生み出されるとされます。
例えば、衛星で外国の様子を調べたときに見慣れない施設が造られているときがありますが、それを調べるためにはその施設に出入りする協力者が必要になることもありますし、同じく、衛星で我が国に外国の漁船が多数押し寄せてくることが確認されても、通信傍受情報がなければその意図を把握することができません。
アメリカのインテリジェンスは、収集できる全ての情報を集約、データ化し、それをAIに解析させることで、政府や軍の活動を支援していますが、これもオール・ソース・アナリシスとなります。
我が国では、インテリジェンス情報のデジタル化どころか、集約の段階でつまずいている状況が長く続いてきました。今回の法案によって、国家情報会議と国家情報局に関係組織のインテリジェンス情報を集約することができれば、日本のインテリジェンス能力は格段に高まっていくことも期待されます。
最後に、私なりの懸念を二点指摘しておきたいと思います。それらは、国家情報会議に対する国民の信頼性の確保、そして国家情報局の組織の在り方といったものになります。
インテリジェンス研究の分野では、情報機関の中立性という言葉が聞かれますが、これは国家のインテリジェンスが特定の党派に加担してはならないという考え方で、政治の側にもこれは成り立ちます。つまり、国家情報会議はインテリジェンス情報と外国情報活動への対処のみを扱うべきであり、そこに党派に関わる情報や国民のプライバシーに抵触するような情報を持ち込むべきではないという考えになります。
そして、この種の疑義を招かないようにするためには、運用上の透明性が確保される必要性もあります。現在の国家安全保障会議がウェブサイト上で議事のテーマを公開しておりますように、将来的には国家情報会議にも同様の説明責任が必要になってくるように思料します。また、情報会議の議事録は恐らく特定秘密に指定されることになるかと想像しますので、そうなりますと国会の情報監視審査会の監視対象にもなりますし、さらには将来的な公開的に備えることも必要になってくるのではないかとも思います。
国家情報局の組織の在り方については、特定の省庁に偏らない人事配置が必要になってくるのではないでしょうか。既に衆議院の内閣委員会でも議論となりましたが、内閣情報調査室のトップは警察、次長は外務省といった人事配置が七十年以上続いてきました。また、内調の幹部の多くは警察出身者で占められております。今後設置される内閣情報局が各省庁からの情報集約を強めるのであれば、いつまでも特定官庁に偏った人事配置は、インテリジェンスの運用上、支障を来す可能性も指摘できます。これは、内閣情報局長と次長の出身官庁を変えればよいというだけの話ではなく、幹部人事が特定の官庁に占められていると、トップが替わっても運用の実態は変わらないのではないかとも想像できます。
これにつきましては、本年三月に発表されました自民党政務調査会の案にも、特定の省庁の出身者の指定席とするべきではなく、人物本位、能力本位で任命を徹底すべきであると明記されているとおり、各省庁がインテリジェンス分野の人材を競って育成していく姿が望ましいように思います。そして、今後、内閣情報局の規模が拡大していくのであれば、独自の採用試験による総合職や専門家の採用、さらにはインテリジェンスの研修所も必要になってくるのではないかと思料しております。
私の意見は以上となります。御清聴いただきまして、ありがとうございました。
○委員長(北村経夫君) ありがとうございました。
次に、海渡参考人にお願いいたします。海渡参考人。
○参考人(海渡雄一君) 私は、人権保障を職務とする弁護士、そして人権保障の専門家として、この国家情報会議設置法案、国家情報局法案の人権保障上の問題点と、我が国の情報法制に対する人権保障の角度からの提言を述べさせていただきたいと思います。
今回制定されます国家情報会議は、内閣総理大臣を議長とし、安全保障やテロ、緊急事態などについての情報収集、インテリジェンスと、外国のスパイ及びそれと一体と疑われる活動への対処、カウンターインテリジェンスについての調査審議をする機関であります。そして、この国家情報局は、内閣総理大臣を議長とする国家情報会議の事務局として、インテリジェンスの司令塔となるとされております。
今、小谷先生からも言われましたが、戦後の歴史において、情報局のようなものを持つべきだという議論は幾度もなされてきました。しかし、それは実現しませんでした。むしろ、歴代の自民党政権はこのような選択を自制してきたと言えるのではないでしょうか。
それはなぜなのか。国際紛争の解決手段として戦争という方法を放棄した日本国憲法の下で、戦争の道具となりかねないような国家情報局、さらには対外情報庁といったような制度は、平和国家日本にふさわしくないと考えられてきたのではないでしょうか。
今日の私の話は、諸外国において、情報機関についてどのような法規制、どのような監督制度が設けられているかを見ていきたいというふうに思います。詳しい資料をお配りしていますが、簡潔に申し上げたいと思います。
まず、ドイツですが、ドイツの連邦情報局、BND、これは外国情報が中心であって、今回、日本政府がつくろうとしている国家情報局に相当するような組織ではありません、むしろそれは憲法擁護庁だというふうに思いますけれども。
このBND法によりますと、このBNDは警察機関に附属してはならない、必要な情報であって、他の方法で得られない他の官庁が所持していないものに限って収集できる、警察権限は持たない、この権限を警察に代行させることも禁止する、対象者への侵害が最も小さい措置を選ばなければならないといったことが定められております。
また、個人情報について、誤っているものについては訂正と削除をしなければならない、国外にいる外国人の通信内容データの収集は認められますけれども、ドイツ国民などの個人データを取得することは原則として禁止です。聖職者、弁護人、ジャーナリストからの情報収集は禁止されております。また、私的生活の核心領域の絶対保護といったことが期待されております。二〇二〇年の五月十九日、二〇二四年の十月八日の連邦裁判所の判断などによって、これらの権限については厳しい制約が課されております。その詳細については省略いたします。
この連邦情報局は、情報収集のみを任務として、対外的な工作などは行わないことが法に規定されています。にもかかわらず、二〇一七年に明らかになったところでは、連邦情報局がBBCやニューヨーク・タイムズ、ロイター通信などの電話を盗聴していたといったことが報じられております。
どれだけ透明な法的制度をつくったとしても、ドイツのような制度の下でもこのような事象が起きているということは、情報機関を設置する際に極めて慎重な姿勢が必要であるということを示していると思います。
次に、オランダの制度について御紹介したいと思います。
オランダでは、二〇一七年の法改正、これに当たっては当初の制度について国民投票で否決されるということを踏まえて非常に厳しい法律改正が行われました。この一枚のパワーポイントをここに載せてありますけれども、見ていただきますと、事前審査のためのTIBというシステム、事後監督、苦情処理のためのCTIVD、さらには議会による監督CIVD、そして特定の場面、これはジャーナリストや弁護士に対する通信傍受に関してはハーグ地方裁判所が判断する、このような非常に複線的な統制回路を形成しております。
私は、このオランダによる情報機関の統制がこのように議論して進められたという点は、今後の国会の議論でも非常に参考にしていただきたいというふうに思っております。
イギリスとアメリカについても詳しい資料を用意しましたけれども、時間の関係で省略させていただきますが、イギリスにおいても情報機関は政党のために行動してはならないということがちゃんと定められています。そして、様々な情報機関について精密な監督制度が設けられております。
アメリカはとても制度が複雑なんですけれども、そして、この情報機関がたくさんの人権侵害を引き起こしてきたわけですけれども、これらの人権侵害を経て、そして九・一一の経験を通じてたくさんの法改正が行われて、活動の透明化、監督制度の整備が進められてきている。これも一枚紙のパワーポイントにまとめておきましたので、是非とも見ていただきたいというふうに思います。
最後に御紹介したいと思うのは、韓国の国家情報院のことでございます。
この点については、五月十三日付けの東京新聞で韓国国会の情報委員会のナンバーツーである朴議員のインタビューが掲載されておりました。KCIAの後継組織である国家情報院は一九九九年に制定されましたが、李明博、朴槿恵大統領の下で反政府的な文化人、ポン・ジュノ監督や作家のハン・ガン氏らを含むブラックリストが作成されていた、バイトを雇って革新系大統領候補をおとしめるネットの書き込みがなされていた、こういった不祥事の発覚を受けて、二〇二〇年に法が全面改正されております。
この全面改正された法が大変注目されるのは、政治的中立の維持、集めた情報の職務外使用の禁止、調査は必要最小限、政治活動への関与の禁止、職権を濫用した逮捕、監禁の禁止、違法な検閲、通信傍受、位置情報の追跡が禁止されました。
二〇二四年の尹錫悦大統領による非常戒厳宣言の発令時には、大統領は政権に批判的な政治家の拘束、位置情報の追跡をこの国家情報院に命じましたが、国家情報院の幹部はこの改正法を根拠としてこのような指示を拒否しました。大統領の指示した違法行為に国家情報院は加担しなかったのであります。明確な法規制があったからこそ、韓国の民主主義体制は守られたというふうに言えると思います。
ここから国家情報局法案の問題点について申し上げます。
内閣情報室を国家情報局に格上げすることに果たしてどのような立法事実があるのかが問われなければならないと思います。そして、内閣情報調査室、警備公安警察、自衛隊の情報保全隊、公安調査庁などの既存の情報機関がどのような問題点があったのか、そして、どのような改善しなければならない点があるか、その歴史的検証を欠いてはならないというふうに思います。
次に、今回、国家情報会議のトップは内閣総理大臣なんですが、本日、参考人にも招聘されております北村先生は、二〇一二年九月に公刊された「情報と国家」の中で内閣情報機関の設置を提言され、これまで府省が取り扱っていた情報のうち、我が国の対外政策、安全保障、危機管理の基本に関わるものについては、法令上の権限として、内閣情報機関の長の各種情報に対するアクセス権が保障されるべきであるというふうに提言されておりました。まさしく、先ほどの北村先生の公述の中で、本法案の七条がこのことを法定しているのだというふうに思います。しかし、この国家情報局が強制力を持って府省の情報を集約できる、そこにどんな歯止めが掛けられるのか、そのことがこの委員会でまさしく問われているのではないかというふうに思います。
この問いに関しては、政府は、国家情報局法案は組織法であり、新たな権限を付け加えるものではないから、その活動の限界を画する法制度は不要であると説明されています。しかし、情報収集のための活動が作用法による規律が必要ではないというふうに考えに立つとすれば、明示的な法的枠組みを欠いた諜報活動を許容してしまうこととなり、法治国家として許容することができないというふうに考えます。
マイナンバーでひも付けられた様々な情報、能動的サイバー防御法に基づいて集められたIT情報、これについても、政府は必要があれば利用するというふうに答弁されております。このような国会審議を基に考えると、政府が集めた情報の目的外使用が常態化するおそれがあるのではないかというふうに考えます。
次に、国家安全保障会議と国家情報会議が、いずれも内閣総理大臣をヘッドとして主要閣僚によって構成される組織として並立することとなりました。政治・政策部門と情報部門が、一応別個の組織にはなっていますが、むしろ融合してしまう危険性があるのではないでしょうか。日本の安全保障に関する政治・政策部門と情報部門が、先ほど来、小谷先生からも懸念が表明されておりましたが、いずれも警備公安警察の出身者によって担われるというようなことになれば、いびつな政治構造が生まれてしまう危険があるのではないかと思います。
また、警察組織は本来、政治的に中立であるべきだったと思います。ところが、この警察組織の中の秘密警察組織である警備公安警察が日本の国家の政治部門と情報部門の中枢を壟断するというような体制が生まれたときには、日本国家としての経済・外交政策、バランスの取れた政策の遂行が難しくなるのではないかというふうに懸念いたします。
高市首相は、衆議院の審査において、政府の政策に反対するデモそのものが情報活動の関心の対象となることは一般的に想定し難いというふうに言われました。しかし、この答弁は事実に反していると思います。多くの公安警察官が、私たちが主催しているスパイ防止法案に反対するペンライトデモについて、個人を特定するような形で情報収集をしているというふうに見えました、我々の立場から見てですね。公安警察が適法な市民運動に対する情報収集活動をしていた、そのことが違法であるということが名古屋高裁の二〇二四年九月十三日の大垣署事件で判決されています。公安警察はまさに適法な市民の活動について情報を収集しているのです。
また、加計学園問題で安倍総理大臣ら官邸幹部が大学の認可について特に便宜を図った可能性が指摘されました。文部科学省前事務次官の前川喜平氏が記者クラブで会見しようとしたところ、それに先立って、読売新聞の朝刊に同氏が出会い系バーに通っていた事実が報じられました。前川氏はその後、雑誌の取材などに答えて、これには個人的に官邸の関与があったのではないかというふうに証言されています。同氏の社会的評価を失墜させるための工作があったのではないかというふうに考えられます。
国家情報局をつくるために、日本の情報法制には数々の問題点があると思います。その中で、たくさんの項目を挙げましたけれども、特に⑥番、あっ、④番から読みます。
情報機関における、情報機関は政治的に中立なものでなければならないし、警察機関と明確に分離されていなければならない、情報機関は、弁護士やジャーナリストの職業上の秘密を侵害してはならないし、個人のプライバシーの中核となるような情報を収集してはならない、こういうことを法に定めていただきたいと思います。
また、安全保障分野の情報機関に特化した独立監視機関というものが必要となると思います。この機関には、集められている情報を見た上で、それについてきちんとした判断ができる権限が認められるべきです。能動的サイバー防御法に基づいたサイバー通信情報監理委員会がつくられ、これには元札幌高裁長官の近藤宏子氏が委員長に選ばれております。この委員会の権限は非常に限られたものですけれども、こういう制度を情報機関全体に権限を及ぼすようなものとして是非ともつくっていただきたいと思います。
まとめます。
良識の府である参議院においては、時間を掛けて、国家情報局を今立ち上げなければならないのか、どのような立法事実があるのかというところは徹底的に議論していただきたいと思います。
そして、以上に述べた我が国の情報法制の欠陥を是正する法制度の提案とセットでなければ、国家情報局の設立を認めることはできないという立場にこの委員会も立っていただきたいというふうに思います。
そして、一、情報局による情報収集の限界を法制化する、二、国家情報局の政治的な中立性、そして警察組織との明確な分離を法的に規定すること、三、政府から独立した第三者機関による実効性のある監督措置という三つの修正がこの法律には絶対に必要不可欠だと考えます。このような修正がなされないままの法案の制定については、私は強く反対させていただきます。
以上です。
○塩村あやか君 立憲民主党の塩村でございます。
本日はよろしくお願いいたします。
お三方それぞれにお伺いしたいんですけれども、まず北村参考人の方にお伺いをさせていただきたいと思います。
資料をいろいろいただいておりまして、参考人はインタビューで、将来、対外情報機関を創設する場合には、特定秘密保護法の制定時に設けられた情報監視審査会がオーバーサイト、つまり監督、監視の役割を担うという趣旨のことを述べられておられました。一方で、今回の国家情報会議については、政府は監督や統制の仕組みまで明確に答弁しておらず、将来的な検討課題という趣旨の答弁にとどまっている状態です。
しかし、国家情報会議も、各省庁の情報を集約をして分析をして、そして政府の意思決定につなげる中枢的な機関であると私は認識をしております。そうであれば、対外情報機関については情報監視審査会によるオーバーサイトを想定する一方で、国家情報会議については監督や統制の在り方、この法案の中で明確にしていった方がいいのではないかという疑問を持っております。
そこで、お伺いをいたします。
参考人は、国家情報会議を設置するのであれば、その設置と同時に監督、監視の仕組みも制度化すべきではないかとお考えなのかということ、そしてもう一点なんですが、対外情報庁やスパイ防止法制定の、そういった議論もやっぱり出てきているわけなんですね、聞こえてきます。これ、国論を二分するという形になってくると思うんですが、そうなったときに、先送りをされるとか決まらないということも十分にあるというふうに私は思っているんですが、今回この国家情報会議だけが先行して運用されていくと、国民の不安はこの国家情報会議についても統制とか監督の視点で残ってくるというふうに思うんです。そのため、少なくとも施行後二年から三年以内にこの国家情報会議ですよね、国会の定期報告や監督機関設置に付けて方向性を、ちゃんと設定するんだという方向性を定めておく必要があるのではないかというふうに考えるんですが、参考人の御意見、二点、お伺いしたいと思います。
○参考人(北村滋君) まず、国会のオーバーサイトの関係でございますけれども、これは平成の二十六年の特定秘密保護法の制定、それからまた情報監視審査会の設置に関する国会法の改正、いずれも関係をしましたですけれども、この際に、対外情報機関ができる場合においては、要するにオーバーサイトの在り方について検討するというような附則だったというふうに考えております。
したがって、この国会についてのオーバーサイトについては、まさに国会の御判断でございますので、それは対外情報庁の場合においては行われるんだろうということでありますが、今回は、先ほど申しましたとおり、基本的に民主的統制という観点では、ほとんどが国会議員であられる閣僚によって構成される会議体といったものがこの情報活動をある意味統制すると、これは広い意味で民主的統制だというふうに思っております。そういったことで、今回の法案といったものが策定されたものと、かように考えております。
それから、今井先生のちょっとお話で、若干、海渡先生がこの国家情報局類似のものは世界的にないというお話がされましたが、これはあえて言わせていただきますと、国家情報局は情報を収集するための機関ではないわけでございます。ある意味で政策決定者とインテリジェンスコミュニティーといったものをどのような形で接続するかということでありまして、その観点から申しますと、米国においてはODNI、国家情報長官オフィス、それからまたイギリスにおいてはJICですね、それからまたオーストラリアにおいてもONIという形の機関が設置されているということでありまして、昨今の情報機構改革の一つの流れということの中においては、MI6を取り入れるようにという御議論もいろんなところでございますが、基本的には、我が国の同盟国、同志国が昨今行った情報とそれからまた政策の分離、そういったもの、それからまた情報機関と政策決定者の有機的な連携といったものを図る国際的な情報機関改革の一つの流れの中にあると、かように信じているところでございます。
○塩村あやか君 ありがとうございます。
私は、やはり国民の皆さんが心配しているのであれば、この国会審議の中で歯止めであるとかそうしたところはしっかりと議論して、ピン留めしておくことが必要ではないかなというふうに考えている立場でございます。
次に、小谷先生にお伺いをしたいというふうに思います。
先ほど明確な問題点を御指摘いただきまして、本当にありがとうございました。私もそのとおりだというふうに思うんです。
朝日新聞のインタビュー、読ませていただきました。国家情報会議、情報局については、首相自身がもっと説明をする必要があると、そして国民の理解を得る努力は欠かせないというふうに述べられていらっしゃいます。そして、ほかの新聞の記事、産経だったと思うんですが、対外情報庁の創設は最もハードルが高くて、国政選挙で国民の信を問う必要があるという趣旨を指摘されているというふうに思います。
そこでお伺いしたいんですが、参考人は本法案に賛成とのことなんですが、今回の国家情報会議、国家情報局についても、政府による説明や国民理解の形成は十分とは今言い難い中で、更にその先にある例えば対外情報庁、先ほどから出てきておりますけれども、そしてスパイ防止法の議論に進むということは、制度の進め方として今順調にいっていると言えるのかどうか、適切であると言えるのかどうかという点でございます。その前提として、先ほど総理の説明がもっと必要だということだったんですが、最低限何が求められるのか、先ほど二点の指摘も踏まえて、端的に御意見を改めて伺いたいと思います。
○参考人(小谷賢君) まず、今回の国家情報会議と国家情報局の設置というのは、今後の日本のインテリジェンス改革の議論のために必要だということであります。
報道されていますように、現政権は今後、スパイ防止法であります、スパイ防止関連法でありますとか対外情報庁構想をしておりますけれども、そもそも、これまで日本政府の中にこういったインテリジェンスの政策に関わる議案を審議、検討するところがなかったというのが実情であります。ですので、今回設置されます国家情報会議においては、こういった将来的なインテリジェンス改革について議論できる場をつくるというのが私はまず優先順位として上げられるべきと考えておりますので、順番として私はこの今の順番でいいかというふうに考えております。
ちょっと私、対外情報庁設置のために国政選挙をすべきだといった種の議論はちょっと発言した覚えが、記憶にございませんで、ちょっとその点については何とも申し上げられないんですけれども(塩村事務所註釈:産経新聞インタビュー記事にて、”国政選挙で国民の信を問わなければ、本格的な検討着手は難しいだろう”と小谷賢氏が述べたことを、委員会終了後に小谷参考人から塩村委員に説明がなされました)、ただし、やっぱり各改革につきまして、時の政権の説明ですね、これはやはり国民に対しては積極的に行われるべきだというふうに考えております。ですから、今回の国家情報会議、国家情報局の設置についても、やはり総理若しくは官房長官のもっと明確な具体的な説明というのがなされるべきだというふうに考えておりますし、それは今後のいろんな改革においてもやはり政治説明というのは必須になってくるというふうに考えております。
以上でございます。
○塩村あやか君 こちら、いただいた資料の中に、先生のインタビューの中にしっかりと書かれておりまして、また後ほど御意見伺われたらと思うんですけれども、先ほど御指摘いただきましたやっぱり運用上の透明性というのは、私は非常に重要だというふうに思っております。御意見ありがとうございます。
海渡参考人にお伺いをしたいというふうに思っております。
資料、分厚いのを今いただきまして、本当にありがとうございました。各国の制度や仕組み、歯止めがしっかりと書かれているというふうに思っております。
海外では、情報機関や情報コミュニティーに対して、独立監察や議会監督や報告の制度など、何らかのチェックの仕組みが置かれているという状況だと思います。一方、本法案について、政府は組織法であるというふうに説明をしているんですけれども、情報を集約、分析をする中枢の組織である以上、やっぱり組織法であったとしても、統制や監督を後回しにしていいとは言えないのではないかというふうに考えております。
本法案の審議の過程でも、先ほども申し上げたんですが、その歯止めの仕組みというものはまだ明言されておりませんで、この本法案成立時に、今、今日もたくさん傍聴にいらっしゃっておりますけれども、皆さんが御懸念されている点というところがクリアにならないと、政治の不信にもつながっていくのではないかと。
一方で、この委員会質疑を見ていても、インテリジェンス機能についての明確な反対をしているような委員はほとんどおらぬというふうに、いないというふうに思っておりまして、やっぱり制度をつくるのであれば、しっかりと歯止めをつくるというところがセットであるというところが見えないと不安なんだというところが一番の懸念点、問題点なんだろうというふうに思っております。
ですので、組織法であると言っておりますが、それを後回しにしていいと言えるのかという点がまず一点と、そして、海外制度との比較から見て、重複するかもしれませんけれども、組織を先行して統制は将来検討するとの今回の立法、司法は、国民理解の点から見ても適切なのか、そして海外の点から見ても適切なのか。安心のために、国民の安心につながるために参考になる事案やアドバイスがあればお伺いしたいと思います。
○参考人(海渡雄一君) ありがとうございます。
私は後回しにすべきでないと思います。各国の、先ほど僕が説明したような法制度というのは、全て組織を定める組織法の中に定められている。どのような活動をしてよいのか、どのような情報を集めてよいのか悪いのかといったことをちゃんと決めた上で、そのような法規制が守られているかどうかを監督するために監視・監督機関をつくるという立て付けになっていると思うんですね。
確かに、韓国の先ほど国家情報院の話をしましたけれども、これも最初からその規制があったわけではないです。いろいろ不都合なことが起きて、そういうことが起きないようにということで恐らくドイツやオランダの制度を導入してきて、ああいう法制度を二〇二〇年につくられたんだと思うんですね。
だけれども、日本はこれからこの国家情報局をつくろうというんですから、やっぱり最初から弊害が起きないように諸外国の例に倣ってきちんとした歯止めの掛かった、簡単に言いますと、どういう行為をしてよいのか、どういう情報を集めてよいのか悪いのか、それがきちんと実定法で法規範として決まっていて、それを独立の立場で、事前、そして事後、そして議会、そして司法もかませてやるというような、能動的サイバー防御に関してできた制度は、僕はまだ機能始めていませんから評価はできませんけれども、高裁の長官を委員に据えたといったところからも非常に僕は期待はしているんですね。だけど、あれは本当に限られた権限しか持っていないので、同じような機関がもっと幅広い権限を持って設置されることを強く願っております。
○塩村あやか君 最後にもし時間があればお伺いしたいんですけれども、今の話を聞いていて思うのは、やっぱり制度、仕組みをつくるときに、今回の法案、そして歯止めがセット、この両方のセットであれば賛成、セットであったとしても賛成か、北村参考人と小谷参考人に短くお伺いしたいと思います。
○参考人(北村滋君) 私の理解では、基本的に今回のものについては、民主的統制の側面といっても、既にセットとして入っているということだろうと思います。
それから、二つ目でございますけれども、立法の順番については、これ外国のものを見ても、作用法ができる前に組織法作っちゃまずいということは必ずしもないのかなと私は思っておりまして、例えば、先ほど申しました国家情報長官室、ODNI、アメリカでございますが、これは九・一一の反省に基づいてということでございますし、それからまた、我が国でも有名なNSCとかCIA、これも国家安全保障法に基づいて設置されているということでございますから、やはり国がどういった方向で作用を強化していくかという意味において、組織法を先行させるということは無意味なことではないと、かように考えております。
○参考人(小谷賢君) 私も同じ考えでありまして、もう既に国家情報会議を設置するということで、ここで民主的統制がセットで入っているというふうに考えておりますので、私は基本的には賛成の立場でございます。
○塩村あやか君 残り数十秒なんですが、賛成の立場の二人からするとセットでなくてもいいというふうに取れますけれども、やっぱり大きな転換点でございますので、国民の理解がある方が私はいいのではないかと考えておりますので、海渡参考人の意見も参考に、引き続き国民の皆さんの疑念が晴れるような国会審議、行っていきたいと思っております。
今日は本当にありがとうございました。
(了)








