就職氷河期と少子化の関係「関係はあると考えるのが常識的であると考えている」岸田総理 ~内閣委員会~

 本日、内閣委員会「子ども・子育て支援法」が行われました。
 塩村は、午前中に「日本の人口流出と少子化」について岸田総理と、午後は「分娩施設」「学校給食無償化」「不妊治療」「中絶薬」「痛くない乳がん検診」等について加藤大臣等と質疑しました。

 塩村あやかの午前の質問は「0:15:30」からです。

午前の質疑の内容は以下の通りです。

【日本の人口流出と少子化について】
塩村:国会質疑は多くの国民、そして子どもたちが理解できる答弁をすべきだと思うが如何か。

岸田内閣総理大臣:当然、分かりやすい答弁を心がけることは大事なこと、ぜひ心がけたいと思う。
塩村:就職氷河期というのは少子化の一因になったのではないか。
岸田総理:結論から言うと、少子化と就職氷河期が関係しているか明確なエビデンスがあるわけではないが、私自身、関係はあると考えるのが常識的であると考えている。

 就職氷河期世代は、バブル崩壊後の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行ったため、不本意ながら非正規雇用で働いている方、引きこもり状態にある方など、様々な課題に直面している方がいるが、経済的な不安定さは少子化の要因の一つであり、また就職氷河期世代が30代前半を迎えた2000年当時の合計特殊出生率が1.20となったことは事実。就職氷河期世代における経済的不安定な方々の結婚や子育ての希望を、十分に実現出来なかったことは重く受け取るべきであると考えている。そういったことから、先ほど言ったように、関係があると考えるのが常識であると受け止めている。
塩村:氷河期の皆さん、少し救われたんじゃないかなと思います。
 少子化は就職氷河期世代については切実なものです。今回の支援金制度は、子供が産めなかった氷河期にとっては負担が増えるばかりになってしまうが、私たち(氷河期世代)は理解していきたいと思っているので、みんなが理解できるというような働きかけを行ってほしかったという点で言えば、最初に負担金の話がどんどん変わっていくというのは、納得できないというか不信を招くだけになるので、今後は気をつけていただきながら、色々と発信を心がけて、分断を生まないようにしていただきたい。
 昨今はアメリカだけではなくて、カナダや日本より賃金が高くなったオーストラリアとか韓国とか、若い人たちが働きに出る労働力の流出というものが問題になっている。海外における日本人の婚姻数の約7割が日本人女性と外国人男性の組み合わせで、特にバブル崩壊後その数が増加をしている。若年層の労働力の流出、若い女性の婚姻による海外流出が少子化に与える影響、悪影響について、総理の認識を伺いたい。
岸田総理:女性の海外在住者数、2022年10月から2023年10月までの1年間で約1.2万人増加しており、これは日本の女性人口全体の約0.02%に相当する。これは年代にかかわらず女性の皆さん全体の数字ですので、こうしたことから推測すれば、ご指摘の若い女性の海外永住が少子化の大きな原因となっているとまでは言えないのではないかと考えている。いずれにせよ、こども未来戦略で掲げる様々な政策を我が国において充実を図っていく、こうした姿勢が重要であると考えており、ぜひ、若い世代が希望通り結婚し、子どもを持ち、安心して子育てができる社会、いかなる環境、家庭状況にあっても、隔てなく大切にされ、子どもたちが育まれ、そして笑顔で暮らせる社会、こうした社会を我が国の中でしっかり実現していくことが、まず第一に重要であると考えている。
塩村:総理の答弁を聞いていると随分楽観的だなと感じてしまう。
 子供を産む年齢層の女性たちが海外移住をする割合が増加すれば、少子化がさらに進行する。そして少子化や地方消失問題に係る有識者が指摘をしている。「ジェンダー平等」の推進や社会意識の変革が必要であると訴えている。先日の参考人に至っては「日本のタリバンみたいな人たちが権力を持っていて、そして制度を変えない」という主旨で発言していた。総理の率直な受け止めを聞きたい。
岸田総理:女性の皆さんが、我が国の経済社会の中で生き生きと働いていただくためには、まずは働き方改革という大きな議論が行われているが、併せて、意識改革が重要であるという指摘、私も同感である。今もなお、肯定的な性別役割分担意識が根強いのではないかという指摘については、真摯に受け止めさせていただく。制度や政策の充実と合わせて、社会全体の意識を変えていく取組、これも重要であるということを言っているわけだが、これらを車の両輪として進めていくことが、こうした施策を結果につなげることにおいて重要であると考えている。
塩村:出産費用の保険適用の議論が進んでいる。出産の費用は無償化をしていくことが重要だと考えるが、総理のお考えは。
岸田総理:妊婦の方々が安心して出産できるように、経済的な負担を軽減するために、昨年4月から出産育児一時金を42万円から50万円に大幅に増額するとともに、出産費用の見える化のため医療機関等ごとのサービス内容や出産費用の状況などを公表するウェブサイト「出産ナビ」の運用が、まさに本日から開始した。出産費用の保険適用については、サービスの質が確保されるというメリットがある一方で、全国一律の診療報酬で評価されることで、かえって妊婦の選択の幅を狭めてはいけないという課題もあり、この2つの考え方を踏まえていくことが、出産費用を考える上で重要だと考えている。自己負担ということについては、昨年度の出産育児一時金の引上げは、平均的な標準費用について妊婦に自己負担が生じないように費用を算定したわけだが、保険適用の検討に当たっても、こうした基本的な考え方を踏襲していきたいと考えている。
塩村:最後に、出産にお金がかかって産めないということがないように、しっかりと検討して無償化をしていただきたい。

 塩村あやかの午後の質問は「1:59:00」からです。

午後の質疑の内容は以下の通りです。

【分娩施設について】
塩村:現在、分娩施設がない自治体はどのくらいあるのか。
塩崎厚生労働大臣政務官:分娩取扱施設がない基礎自治体の数については、先日の委員からのご要望も踏まえて、医療施設静態調査のデータを活用して、特別に集計を進めている。1,2週間程度をめどに検討している。
塩村:自分が住んでいる自治体に分娩施設がないというところがどんどん増えてきており、そうしたことを知るところから政策を立てることが重要だと思う。

【不妊治療について】
塩村:職場で職務に影響を与えてもいないのに、不妊治療を断念させるということはハラスメントに該当するのか、罰則はあるのか。

宮﨑厚生労働副大臣:男女雇用機会均等法では、妊娠・出産等に関するハラスメントについて、相談窓口を設置するなど、管理上の措置の実施を事業主に義務付けている。この妊娠・出産等に関するハラスメントは、例えば妊娠・出産に関する言動により、就業環境が害される言動などを対象とするものであり、妊娠前の不妊治療に関する嫌がらせは、法令上は該当していないという分類になっている。しかし、妊娠・出産等に関するハラスメント指針において、妊娠・出産等に関する否定的な言動には、不妊治療に対する否定的な言動を含むと明示をした上で、不妊治療に対する否定的な言動が、職場における妊娠出産等に関するハラスメントの発生の原因や背景につながることや、そうした原因背景について労働者の理解を深めることが重要であることを明記しており、都道府県の労働局においてその周知を図っている。罰則についても、その定めはない。
塩村:何がプレ・マタニティハラスメントに該当するか。
宮﨑厚生労働副大臣:妊娠前の不妊治療に関する嫌がらせは、男女雇用機会均等法に基づく妊娠・出産等に関するハラスメントには該当しないが、一般論として、不妊治療に関して、例えば、治療をやめるように叱責をする、改善を求める内容を受け取らず一蹴する、会社の窓口に連絡をしたが相談しないように説得をする、相談窓口が設置されているのにこれを使わせない、といったことは適切ではないと考えており、このような場合には、都道府県労働局に相談をいただけるような周知広報に努めている。
塩村:会社に相談しても改善されず隠蔽にあった場合はどのようにしたらいいのか。
宮﨑厚生労働副大臣:都道府県労働局の相談窓口へのご相談をいただきたいという趣旨を周知しているので、個別労働関係紛争解決促進法という法律があり、この法律に基づいてご相談いただいた働いている方の相談に応じ、必要な助言指導を実施するだけでなく、働いている方の申請により、第三者である弁護士、大学教授などからなる紛争調整委員会による斡旋を実施するなどして、紛争の解決、援助を実施している。妊娠・出産等に関するハラスメント指針等の規定の周知を徹底するとともに、働いている方に対して、都道府県労働局の相談窓口を周知するなどして、丁寧に相談に対応していきたい。
塩村:プレ・マタニティハラスメントはマタハラとの一般の認識の割合は。
宮﨑厚生労働副大臣:一般にどれぐらい概念の認識が広がっているかという趣旨での調査の結果というのはとっていない。ただ、2023年度に不妊治療と仕事の両立に関する実態調査を行っている。不妊治療を受けていることを職場に伝えた方のうち、不妊治療中、治療経験者の約4割弱の方が何らかの嫌がらせを受けているという回答があった。その嫌がらせの内容は、上司からの嫌がらせの発言があった、同僚からの嫌がらせの発言があった、休暇の取得や制度の利用を認めないということをされた、といったものが、このアンケートの中で多くあった。
塩村:不妊治療の保険適用後に、プレ・マタニティハラスメント対策や周知を行ったか。
宮﨑厚生労働副大臣:非常に重要なご指摘です。先生ご指摘のとおり、2022年の4月に、不妊治療の保険適用が開始された。不妊治療と仕事の両立に積極的に取り組んでいただいている事業主の方に対して、「くるみん」の制度の中で、プラスを作るような形で「くるみんプラス」「プラチナくるみプラス」「トライくるみんプラス」というふうな形で横出しするような形で、こういう制度を作らせていただいている。従前から事業主人事部門向けのマニュアル、また、働いていらっしゃる方向けのハンドブック、これを作成をしている。このマニュアルなどでは、不妊治療と仕事を両立できる職場環境の整備に向けたチェックリストなどもつけている。2023年度の実態調査結果を踏まえて、当該年度中に、この冊子の改定も行った。また不妊治療と仕事を両立しやすくする職場環境などに取り組む中小企業者の方に対して、両立支援等助成金に不妊治療両立支援コースを設けて助成金の制度を作っている。また、周知という意味では、本年度不妊治療を経験された方の体験談の動画の作成や配信、また、一般雑誌を活用した広報なども、今、計画をしており、こういう仕事と不妊治療を両立していたこと、また、嫌がらせのようなことが許されていけないことであるので、こういったことに社会の意識が広がるように取り組んでいきたい。

塩村:プレマタハラをなくして、子どもを持てるという環境を整えるということについて大臣の決意を端的に伺いたい。
加藤内閣府特命担当大臣:昨年12月に閣議決定した「加速化プラン」においては、社会全体の構造や意識を変え、夫婦が相互に協力しながら子育てをし、それを職場が応援をし、地域社会全体で支援する社会、それを作ることを理念に掲げている。この理念の実現のためには、長時間労働の是正はもとより、ハラスメントのない働きやすい職場環境づくりなど、企業全体の働き方改革をより一層推進していくことが重要であると考えており、このことは、不妊治療中の方々も含めて、様々な事情を抱える方々において、仕事と両立が可能となることにも繋がるものと考えている。是非こうした働き方改革を通じて、若い世代が不安を感じることなく、結婚・妊娠・出産・子育てを選択できるようにすることが、少子化対策の観点からも重要であり、厚生労働省などとも連携をし、政府一丸となって取り組んでいく。

【中絶薬について】
塩村:中絶薬の販売開始から約1年が経過したが、使えない県が結構あり、中絶薬へアクセスする地域格差が存在する。WHOの中絶に関するガイドラインでは、中絶薬へのアクセスを確保することが推奨されているが、日本では実現されていない。こうした地域格差は早期に解消されるべきだと考えるが、政府の見解を。

塩崎厚生労働大臣政務官:地域格差という問題ですが、経口中絶薬「メフィーゴパック」については、使用される条件がついており、入院可能な有床施設においてのみ使用可能となっている。なぜこういう条件が付いているのか、本剤の市販後に十分な調査研究を行って適切な医療連携体制の在り方について評価を行った上で、また検討判断するということになっている。こども家庭庁の科学研究の調査結果等を踏まえて、今後検討していきたいと考えている。

塩村:早めに制限解除を検討していただきたいが、今後の予定、目安があれば教えてください。
塩崎厚生労働大臣政務官:調査研究については、令和5年度の子ども家庭科学研究の中で実施されており、現在まさに報告書を作成中。なるべく早くまとめた上で公表できるのではないか。

塩村:できるだけ速やかに科学的な根拠に基づいて、こうした制限を解除していただきたい。
もう一点問題がある。中絶薬の存在を知っているのは27%。WHOの中絶に関するガイドラインでは、正確な情報を必要とする全ての人が入手できる環境を確保するということが推奨されているが、日本では現状できていない。正確な情報を必要とする全ての人が入手できる環境の整備に向けて、政府は今後どのような取り組みをされるのか。
加藤内閣府特命担当大臣:人工妊娠中絶に関する正しい知識の普及啓発は重要だと認識している。このため、こども家庭庁においては、若者向けのポータルサイト「スマート保険相談室」において、人工妊娠中絶も含めた、性や妊娠等に関する正しい情報や相談窓口などの周知を行っている。また「性と健康の相談センター」において、男女への性や生殖、妊娠、出産、不妊治療等に関する医学的・科学的知見の普及啓発を行うとともに、性と妊娠等に関する悩みを持つ方に寄り添った相談支援、これらを実施している。併せて、こども家庭科学研究において、人口妊娠中絶の方法について、経口中絶薬に関する内容も含め情報提供するリーフレットを作成している。引き続き性と妊娠等に関する正しい地域の普及啓発や国民に寄り添った相談支援等に努めていく。

【痛くない乳がん検診について】
塩村:乳がん検診の痛みについて大臣はどのようにお考えか。
加藤内閣府特命担当大臣:私も経験があるが、かなり痛みが伴うことは承知している。厚生労働省の所管となるが、乳がん検診において、一般的に行われるマンモグラフィー検査については、痛みを伴う検査ではあるものの、がんの早期発見のために重要な役割を果たす検査でもあると認識している。できる限り多くの方にがん検診を受診していただく観点からは、痛みなどの身体的な負担を軽減すること、これも重要であると考えている。一方で、科学的根拠に基づく効果的な検査方法によることが、検診を意義あるものとするためには必要であるということも承知している。こども家庭庁としても、妊娠・出産・育児を経験することも多い世代の乳がんの予防を推進するために、女性の健康の保持・増進を図る「性と健康の相談センター」とか、若者向け健康相談支援サイトの「スマート保健相談室」こういったところにおいて、乳がん検診についての情報提供を行っていく。

塩村:痛くない乳がん検診は日本の技術でいくつかある。自治体検診ではマンモグラフィー、ところどころでエコー検査が使えるという状況になっている。無痛の乳がん検診、MRIなどだと、乳腺に邪魔されず、がんを見つけることができる。痛くない乳がん検診の受診率を上げて発見率が高いものを選んでいただきたいと、私は当選したときから申し上げている。痛くない乳がん検診を選択できる環境を整えていくということが必要だと思うが如何か。
加藤内閣府特命担当大臣:乳がん検診の方法については、厚生労働省においてがん予防重点教育及びがん検診実施のための指針において、科学的根拠等を踏まえた適切な検査方法を示していると承知をしている。指針に位置づける検査方法については、科学的根拠に基づき死亡率減少という利益が検査の利用性や過剰診断等の不利益を上回ることが明らかな検診方法に限られており、厚生労働省において引き続き適切な検査方法について検討されるものと承知をしている。乳がん検診を多くの方に受けていただくことは大変重要なことと認識しており、こども家庭庁としては、厚生労働省と連携をして、情報提供に努めていく。

【梅毒について】
塩村:産婦人科学会が昨年、分娩を取り扱う全国の医療機関を対象に大規模な梅毒調査をしたそうだが、その結果は。
塩崎厚生労働大臣政務官:産婦人科学会による2023年の全国調査の結果ですが、2023年に我が国で分娩者、妊婦における梅毒感染者数は376人であり、若年齢層ほど感染割合が高い傾向にあったこと、また、妊婦の感染率は2016年と比較して約3倍となっており、どの年齢層においても上昇傾向にあったことが報告されている。
塩村:赤ちゃんを守るために、先天梅毒を予防することが大事だが、その取り組みは。
塩崎厚生労働大臣政務官:先天梅毒は妊婦の早期の診断治療につながればその大半は予防可能であるとされており、妊娠初期の妊婦健康診査で梅毒検査を行うこれが大事であると考えている。厚生労働省では、こども家庭庁等と連携して、行動経済学・ナッジ理論を活用して効果的なポスターを通じて梅毒の検査受診を促すメッセージを作成したり、リーフレットの配布、SNS等で先天梅毒や妊婦健康診査の受診について周知・啓発を行っている。
塩村:日本感染症学会理事の度會睦子東京医療保健大教授は、「性風俗産業を介した感染に加え、年上の男性と金銭目的で交際する「パパ活』などと呼ばれる活動が中高年男性と若い女性に広まっていることが、要因の一つ。全国的に減少している若年女性の中絶が東京ではあまり減少していない」と説明しているが、大臣の受け止めは。
加藤内閣府特命担当大臣:梅毒の拡大の一因としてということでしたが、梅毒については、検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあり、妊婦が罹患すると流産死産となったり、また梅毒に罹患した状態で生まれる先天梅毒となることがあると承知している。今般の梅毒の流行拡大の要因等については、厚生労働省において調査研究を実施しており、現在、感染経路の分析などが行われている。また、梅毒拡大の要因について、委員のご指摘とは別の観点から申し上げると、梅毒合併妊婦の増加に伴い、先天梅毒も増加しており、対策が求められていると承知をしている。特に先天梅毒については多くの場合、適切な治療により予防可能であるため、妊婦検診等を通じた早期診断、早期治療が重要であると認識をしており、予防啓発が大切であると考えている。こども家庭庁としては、厚生労働省と連携をして、「性と健康の相談センター」を通じた、感染症などに関する相談支援を行っていくとともに、リーフレットを活用した先天梅毒の予防啓発などを実施している。今後とも妊婦の梅毒感染や先天梅毒の防止・予防啓発等にしっかりと取り組んでいく。

【若年女性の売春/海外売春について】
塩村:パパ活、立ちんぼ、売春の原因の4割がホストクラブ。被害は高校生にまで及ぶ。売掛をさせたり、売春を勧めたり斡旋することは違法行為であり、店ぐるみであることは明らかである。店に対してもより厳格に検挙の姿勢で臨むべきではないか。

檜垣警察庁生活安全局長:警察においては、本年2月、宮城県警察において、客の女性を性風俗店に斡旋した事案について、ホストクラブの従業員を検挙するとともに、これらと共謀していた店長についても検挙している。このように、ホストクラブ及びその従業員の違法行為については、厳正な取締りを推進している。引き続き、ホストクラブやその従業員に違法行為がある場合には、厳正な取締りを推進していく。
塩村:お店に対してもしっかりと取り組むということが重要だと思う。
 3日前にCNNで悪質ホストの問題が特集で取り上げられた。イギリスのエコノミスト誌にも取り上げられた。先般、ホストクラブが風営法で検挙されたが、風営法のどの条項で検挙されたのか。
檜垣警察庁生活安全局長:検挙ではなく行政処分の話。今月、東京都公安委員会が、ホストクラブの従業員が売りかけ金返済のために女性客に売春させていた事件を受け、従業員が当時勤務していたホストクラブに対し風営適正化法の規定に基づく営業許可の取消処分を行っている。取消処分については、風営適正化法第26条第1項で「都道府県公安委員会は、風俗営業者やその従業者が当該営業に関し、法令に違反した場合において、著しく善良の風俗、もしくは正常な風俗環境を害する恐れがあると認めるとき、許可を取り消し、または営業の停止を命ずることができる」旨、定められている。本取消しについては、同条に基づいて行われている。引き続き、悪質なホストやホストクラブの違法行為については、厳正な取締りを推進するとともに、違法行為がホストクラブの営業に関して行われている場合は、風営適正化法に基づく営業の取消しや停止といった行政処分を行っていく。

塩村:歌舞伎町では自主規制をやっているが、歌舞伎町だけちょっと静かになって、全国に飛んでいっているような状況で、九州とか大阪から、歌舞伎町から来たホストに騙されたという相談が来ている。法律である程度縛っていくことが必要ではないかということで、立憲民主党は法案の準備をしており、ぜひ皆さんのご賛同をいただきたい。
 悪質ホストクラブでは、男子大学生を対象に入学金を肩代わりし、授業料などを毎月支払う「奨学金」制度がある。これは都内大学の授業料が高額だからであり、こうした手法で高校を卒業したばかりの1 8歳が「加害者」となっていく。奨学金をホストクラプに頼る日本の状況を加藤大臣はどう考えるか。
加藤内閣府特命担当大臣:委員指摘の事例について、詳細までは承知していないが、仮に男子大学生がこのような制度に経済的な魅力を感じてアルバイトを始め、利用客に多額の売りかけ金を背負わせ、その返済のために利用客に売春を勧めたり、斡旋したりする、そういった加害者となること、すなわち重大な人権侵害である人身取引に加担するようなことは、あってはならないことだと考えている。
塩村:加藤大臣もぜひ被害者の皆さんと会っていただきたいと思います。

【学校飼育動物について】
塩村:最後に、学校飼育動物について。どんどん減っています。平成19年は79%の学校が飼っていましたが、今は21%です。その理由は手間が大変です。動物が病気になっても、お医者さんに連れて行くお金がありません。学校の働き方改革にも逆行しています。災害の時には全滅するということが少なくない。動物愛護とか福祉の面からも、遠く離れたところでの飼育が行われているということで、動物愛護団体からも問題視されている。
 子どもたちが一体何を学べるのか?可愛がる時だけ可愛がって、災害の時には見捨ててよくて、先生たちが困っていて、自分でどうにもできないのであれは見捨てていい、こんなことを学んでいいはずがありません。こども家庭庁の役割も期待されている。学習指導要領を改訂し見直しをすべきと考える。如何か。
加藤内閣府特命担当大臣:まず、動物飼育は文部科学省の所管となりますが、その上で申し上げると、学校における動物飼育は、学習指導要領のもとで、子どもたちが、動物が生命を持っていることや成長していることに気づき、生き物への親しみを持ち、大切にすることを学ぶこと等を目指して行われているものと承知をしている。その適切な飼育の在り方については、文科省において、動物愛護管理法等の法令や参考となる事例等について周知し、飼育環境の改善を促していると伺っている。そうした取り組みによって、委員ご指摘の悪影響への対応なども含めて、学校における動物飼育の適切な実施が図られていくことが重要であると考えている。
塩村:ありがとうございます。

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