【こんな前例を作ってはいけない。他に波及する】 ~日本学術会議・任命拒否事件~

 もはや事件ですし、今朝の某ワイドショーの内容にビックリです。あの内容を「一般の意見風」として流していれば、どんどんと政治劣化が進むと感じました。

 任命されなかった立命館大学の松宮教授(刑事法)が法を根拠に分かりやすく、基本を語っていました。しかし、コメンテーター陣はTwitterの匿名レベルの内容でコメントしている訳です。松宮教授もリモート出演されていましたが、本質からズレた一聞すると「切れ味いい」ことを言っている議論の中に巻き込まれてしまい、お気の毒でした。

(以下≒です)
①「税金を使っているのだから、嫌なら独立すべき」
②「多様な意見を取り入れるために、学術会議の偏った意見を正す必要がある」。
 比較的寛容なこの私ですら、あんぐりとしてしまいました。

 まず、①
 その理論でいけば、文化芸術でさえも時の政権の言いなりになってしまう。それこそ「いつか来た道」ではないか。学術会議以外では会計検査院等も独立していますが、常に政府の意に沿う結果を求めるという意見は非常に危険です。「役割がある」訳です。学術会議の成り立ちと役割、法を考えれば、まず、任命拒否するのであればその理由は法17条に基づいた説明をしなくてはいけない。

【第17条】
日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。

 つまり、推薦された研究や業績の「何」が不適格で任命拒否をしたのかを政府は説明しないといけない。法に沿って選考をするのは、学術会議です。選考の権限は総理にはありません!

 ②「多様な意見を取り入れるために…(以下略)」
 研鑽を積んだ方々の意見が一致することは多々あることです。何よりも学術会議は「様々な意見」をぶつける場ではない。そもそも、見識を持った研究者たちの意見と大きく異なることをしている方に問題があるんじゃないでしょうか。
 政府の意見と異なる、憲法解釈や法解釈を意見する学術会議に「多様性を」というのは、恐ろしい詭弁。気にいらなければ、「多様な意見を」と言い、意に沿えば「異論を許さない」状況を作り忖度させる。

 本日、任命排除された早稲田大学岡田正則教授に改めて話を伺いに議員団で伺いました。岡田教授からは分かりやすい論点や意見が示されました。

【総理の「人事権」は学術会議がその主旨目的と、それを踏まえた関連条項で定める「誓約」に服する。】

〇選考の権限を有するは日本学術会議。の総理大臣に「選考」の権限はない。
〇内閣府設置法40条「特別の機関」にあたる。検察庁・日本学士院・中央選挙管理委員会・日本学術会議。学術会議は内閣府の外局でも、審議会でもない。
〇「所轄」の解釈。「統括」と逆の意味。独立性が補償されており、「所轄」は「指揮監督を受けない」と明示されている。
〇任命権と罷免権。日本学術会法25条。「内閣総理大臣は、会員から病気その他やむを得ない事由による辞職の申し出があつたときは、日本学術会議の同意を得て、その辞職を承認することができる。」つまり、学術会議の同意が必要。

 

 私も2点岡田教授に質問をさせて頂きました。

 まず、今回、科学者が国会に与える影響です。
「いま、日本の研究環境は、先ほども話したとおり研究費に枯渇をしている状況。補助金を得るために、今まで以上に政府の顔色を見る発言をするようになる。」
「国会で野党からの参考人招致に応じなくなる」「政府の意に沿う意見ばかり言うようになる恐れ」とのこと。

 次に、学術会議は6人を任命するよう要望をしたが、それ以上何ができるか。
「これは国会でしか白黒ハッキリすることができない」

 私は学術会議についてこれまで特定の意見を持っていません。
 だからこそ、学術会議の存在意義、成り立ち、意義を勘案し、今回の任命拒否は絶対にあってはいけないことが起こっており、6人の拒否をそのままにして「前例をつくってはいけない」と考えます。

 なぜならば、6人の任命拒否のままだと、今後政権は前例ができたことを根拠として、独立しているにも関わらず「任命権」のある組織の人事に手を突っ込んできます。恐ろしいことです。いつか来た道…と言われない節度ある政権運営が望まれます。

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