去る4月24日に外交防衛委員会が行われました。
塩村は女性の能力強化・参画の促進やトクリュウ(悪質ホスト)問題について、岩屋毅外務大臣、辻清人内閣府副大臣、松本尚外務大臣政務官らと質疑しました。
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https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=8482
塩村の出番は「 0: 49: 05」ごろからです。
当日の質疑の内容は以下の通りです。
【女性の能力強化・参画の促進】
今年は1995年の第4回世界女性会議で「北京宣言・行動綱領」が採択されてから30周年を迎え、「北京+30」として様々な国際会議が開催されます。
しかしながら、3月8日の国連第50回国際女性デーに先立ち発表されたUN Womenの最新報告書によると、2024年には世界各国政府の4分の1近くが女性の権利に対する「揺り戻し」を報告しています。
この結果について、日本はどう向き合うべきでしょうか。
塩村:今年は北京宣言から30年になりますが、UN WOMENの報告書によると、30年間でジェンダー平等について進歩した部分もあるが、衰退した部分も多いと指摘されており、2024年には、世界各国政府の4分の1近くが女性の権利に対する「揺り戻し」を報告している状況です。になっています。この調査結果について、大臣の所見をお伺いします。
岩屋外務大臣:深刻に受け止めなければいけないと、事態を改善させていくために、我が国としてもなし得ることをしっかりやっていかなければいけないと考えている。
塩村:世界の女性と少女の貧困問題に取り組み、金融サービスや教育、雇用の機会の提供を含め、彼女たちの経済的エンパワーメントを強化するために日本は世界に十分な支援を行っている自負されているか、お伺いしたいです。また、今後の展望があれば教えてください。
岩屋外務大臣:これまで国際機関や国際協力機構、JICA等を通じて開発途上国の女性の経済的エンパワーメントに向けた取り組みを行ってきているほか、ジェンダーに基づく暴力の被害を受けた女性に対する支援や、紛争、自然災害の影響を受けた女性、女児に対する生活必需品の提供、雇用創出、職業訓練を通じた女性の経済的エンパワーメント支援も行っている。外務省としては、引き続き、国際機関と連携してジェンダー平等と女性のエンパワーメントを推進していきたいと考えている。
塩村:防災や災害に関しても触れていただきましたが、災害が多い日本の経験や知見をどのように世界に還元していくのか、具体的な方策を示していただきたい思います。また、北京宣言30年ということで、ジェンダーの部分に関しても、中国がかなり力を入れて活動する年になると思います。「対中国」と言いますと、「特定の国を想定することはない」との答弁が毎回返ってきますが、包括的に考えて、こうしたジェンダーや女性、男女平等などに関して日本はしっかりとリーダーシップを取っていかなくてはならないと感じております。その点に関しましても、大臣の方から御答弁をいただけたらと思います。
岩屋外務大臣:中国の動きはしっかり注視をしていきたいと思っているが、だからということではなく、我が国は我が国として、この女性・平和・安全保障、いわゆるWPSを主要な外交政策の一つとして、これからも力強く推進していきたいと考えている。今年はWPSに関する国連加盟国ネットワークの共同議長国を務めており、2月には、当該ネットワークの東京会合を開催した。そこでは、和平調停における女性の役割の重要性などの伝統的な課題とともに、自然災害への対応、AI、サイバーセキュリティーなど新しい課題も取り上げたところである。我が国としては、ジェンダーの視点を防災、災害対応、気候変動、復興などあらゆる段階に取り入れることが重要だと認識しており、WPSに関する第3次行動計画には最初から紛争のみならず災害に関連する項目も含めている。こうした国際的な議論を、これからもしっかりリードをしていきたいと考えている。
塩村:日本国内の課題について、どのように把握しているか、お伺いしたいと思います。
政府参考人(内閣府):先ほど御指摘いただいたUN WOMENの報告書によると、国際社会に共通したジェンダー平等実現のための行動として暴力の根絶、完全かつ平等な意思決定などが挙げられており、これらは我が国として取り組むべき課題とも共通点があると認識している。政府としては、男女共同参画基本計画および女性版骨太の方針に基づく関連施策に取り組みつつ、国際的な議論に関する情報の提供などを通じて、男女共同参画社会の形成を国際的な協調の下に実施していきたいと考えている。
塩村:先ほどから女性の平等や性暴力に関して触れさせていただきましたが、こちらは自殺をした女子高校生の御遺体に葬儀場の職員が性犯罪を行っていたという事件の記事になります。日本では遺体に対する性暴力には刑罰が科されていないため、この件は建造物侵入罪で立件されたという、誰の理解も得られない形で罰せられています。この問題は過去(2023年3月)にも国会で取り上げさせていただき、当時の法務大臣が「十分な検討が必要であり、今後検討する」と答弁されて、それから数年経っています。この検討状況についてお伺いしたいと思います。どのようにその検討を進めているのか、この件に関して何回会議を開いたのか、教えてください。
政府参考人(法務省):会議体のようなものを設けているものではないため、何回とか何時間ということを具体的に申し上げることは困難であるが、様々な検討課題を抽出しながら検討している。
塩村:ちょっとひどいですね。当時(2023年)の齋藤大臣が非常に神妙な面持ちできちんと答えていただいて、私は信じていましたが、そのときから答弁が変わっていないのは良くないと思いますし、先ほど与党の方からも、審議会をちゃんと立ち上げるべきじゃないかという声が聞こえてきました。ごめんなさい、これ通告はないんですが、やはり政治家に聞かなくてはならないと思います。今日は内閣府から来ていただいていると思うんですが、御答弁いただけますでしょうか。連携して解決していくことが必要ではないでしょうか。
辻内閣府副大臣:私も当時の塩村先生の予算委員会での御発言を覚えている。この問題のみならず、女性のいま抱えている様々な課題を含めて、内閣府としてもしっかりリーダーシップを発揮していきたいと思っている。
塩村:ありがとうございます。期待しておりますので、お願いいたします。続いてですが、歌手の八代亜紀さん(故人)のヌード写真がCDとともに発売されるという事件の記事になります。これはリベンジポルノの三条や刑法百七十五条に該当すると思うのですが、処罰へと持っていくためには刑事告訴などが必要になるという認識でよろしいでしょうか。
政府参考人(法務省):仮定の話にはなるが、仮に捜査機関に対して告訴ないし告発などがなされた場合には適切に対処するものと考えている。
塩村:なぜ今回の件がそのような運びになっていないかというと、御本人がお亡くなりになっているからなんですよね。私が今回、先ほどの御遺体への性暴力事件や、この八代亜紀さんの騒動を取り上げた理由は、日本において、死後の尊厳というものがどのようになっているのか、疑問に思ったためです。こうした性暴力に限らず、死後の尊厳というものに関してしっかり取り組んでいただきたい思うのですが、いかがでしょうか。
政府参考人(法務省):刑法の規範も未来永劫同じで良いというものではないと考えている。犯罪情勢、社会情勢を踏まえながら、時代に即した形で、処罰すべき者を適切に処罰できるような刑罰法規にしていくことは必要であると考えており、そのための不断の検討は行っていきたい。
【悪質ホスト/トクリュウ】
去る4月11日付の英字新聞「ジャパンタイムズ」に、悪質ホストとそれに連なる性風俗スカウト、トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の実態、そして風営法改正に関する塩村へのインタビュー記事が掲載されました。
これに対する外務大臣、内閣府副大臣らの所感に加え、被害女性の社会復帰への支援、問題あるホストクラブの海外チェーン展開などに関して質問しました。
塩村:この記事についての所感を端的に、外務省、警察庁、そして内閣府の皆さんにお伺いしたいと思います。
松本外務大臣政務官:複数の邦人女性からこういった関連の相談を受けていることは承知をしているし、大変深刻な問題だと考えている。こうした相談に対しては必要な助言、支援を行っているところであり、平素からホームページ等で注意喚起を行って、かつ困難に直面した場合には最寄りの在外公館に連絡するよう呼びかけている。
政府参考人(警察庁):記事に取り上げられているような、ホストクラブで多額の債務を負った女性らが支払いのためにスカウトグループ等を通じて性風俗店に紹介されるなどしている実態があることは深刻な問題だと認識しており、取り締まり等を進めているところである。
辻内閣府副大臣:売春などの強要を通じた性的搾取は、当事者に深刻な精神的、肉体的苦痛をもたらし、その尊厳を傷つける行為であり、また、売掛金を返済させる目的で、犯罪行為も含めた手段が組織的に用いられている事態は極めて悪質で、看過できるものではない。私自身、記事を拝見して改めて、こうした考えを関係府省で共有し、対策に取り組んでいく必要があると痛感した。政府としては、背後の組織も含め、悪質なホストクラブ等に対する厳正な取締りを推進するとともに、その被害に遭わないよう、予防の観点からの啓発にも更に進めていく。
塩村:この悪質ホストの問題に関しては春から夏にかけて、女性が進学や就職で親元を離れる時期に被害が多くなります。これに対して何か実効性のある対応は行っているのか、教えていただいてよろしいでしょうか。
政府参考人(内閣府):毎年4月を若年者の性暴力被害防止予防月間と位置付け、広報啓発に取り組んでいる。
塩村:被害に遭った女性の社会復帰への支援が不足しているように感じます。「ハローワークに行きましょう」といったことではなく、民間の力も借りつつ、女性に特化したような就労支援の仕組みをつくっていくことが必要だと思うのですが、考えを聞かせてください。
政府参考人(厚生労働省):被害に遭われた方については、そこに至る背景として様々な悩みや問題を抱えており、回復や自立に向けて必要な支援の内容、時間も様々であると認識している。指摘のあった就労に関しても個々の状況に応じて適切なものに結び付けられるよう取り組むことが重要であり、各自治体の女性相談支援員あるいは民間団体のアウトリーチなどを通じて、官民共同できめ細かな対応が確保されるように取り組んでいきたい。
塩村:被害を出しているホストクラブのチェーン店が東南アジア方面に海外進出しています。その実態をどの程度把握しているか、教えてください。
政府参考人(警察庁):警察においては、御指摘のような海外におけるホストクラブの営業の実態は把握していない。
塩村:是非しっかりと調べていただき、このようなビジネスモデルが世界に広がらないようにしっかりと対応していただくことを外務大臣、内閣府副大臣にもお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。