本日、外交・安全保障に関する調査会が開催されました。
参議院特有の「調査会」ですが、今回(2023年から2025年の3年間)の当調査会のテーマは「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」です。今日は、中間報告作成に向けて各会派の意見交換が行われ、塩村も立憲民主・社民会派を代表して、これまで5回行われた参考人質疑を踏まえ、意見陳述を行いました。
塩村の意見陳述は以下の通りです。
ロシアによるウクライナ侵略やガザ情勢など国際情勢が複雑化する中、本調査会が掲げる「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」がますます重要となっています。こうした中で開始された2年目の5回にわたる調査では、各分野の有識者から重要な指摘、提言をいただきました。
まず、1年目の調査を深掘りする形で行われた軍縮・不拡散に関するテーマのうち、LAWSについては、日本は、G7の一員でありながらアジアの一員でもあるという立場をいかし、国際的なルール作りを主導していく役割を果たしていくことが重要であると考えます。さらに、参考人から、対人地雷禁止条約等の加盟国と非加盟国の非対称性の問題について、対応を考えておく必要がある旨の指摘もあり、今後の議論が必要ではないかと考えます。
また、核軍縮に関する取組では、「核軍縮に関するG7広島ビジョン」について、参考人からは、核兵器禁止条約に言及がなく核抑止を肯定するもので、非常に残念であるとの指摘がありました。今後、唯一の被爆国でもある日本が核兵器廃絶に向け、核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバー参加するなど更に踏み込んだ取組を行い、FMCTの議論を進めることにも大きな役割を果たしていくことを期待します。
さらに、いずれのテーマにおいても、今日の国際環境が大変厳しい状況で、LAWSやFMCTなどの取組を条約方式で進める難しさとともに、ソフトローによるアプローチの可能性も示されました。日本として、そうした可能性も検討、追求していくべきであると考えます。
人道問題への対応では、イスラエルのガザ地区への攻撃について、ICJが集団殺害防止の暫定措置命令を出している中で、日本政府は事実関係を把握できないことを理由に国際法上の評価を避けています。しかしながら、イスラエルの攻撃によって、病院や学校等の施設にも被害が出ており、参考人からは、イスラエルの行為は国際的な非難に値するとの指摘もありました。日本は、これまで築いてきた中東との信頼関係に基づいて、停戦に向け、より主体的に行動すべきです。日本政府には、人道や平和構築を重視する立場からの行動を強く求めます。
気候変動や人間の安全保障の問題については、日本としての取組の表明が弱いのではないでしょうか。この点、参考人からは、因果関係の証明が難しい気候変動のような問題では、事後的ではなく、可能性をリスクと捉え、対応していくことが求められるとの指摘や科学技術力の高い日本が、他国に海洋状況把握等で得た情報の提供を行うことで、より良い関係を構築し、日本の安全保障へとつなげていくことができるのではないかとの指摘もありました。日本は、安全保障上のリスクを考慮した上で、国際社会と積極的な情報共有を行い、取組を強化していく必要があると考えます。
また、国際的にも難民認定率が低いと指摘される日本が、2050年までに2億人以上発生するとも言われている気候難民を受け入れて行くに当たっての制度の在り方や、輸入に頼る日本が、食料安全保障やエネルギー安全保障を確立するために、再生可能エネルギーや農業の分野での技術研究や新しいビジネスを後押しするような政策を考えていく必要があります。さらに、海面上昇が領海基線に及ぼす影響についての国際的な議論にも注視していく必要があります。
最後に、LAWS、国際人道法、核軍縮、気候変動対策等の様々な課題において、国際的なコンセンサスを形成していく場である国連改革の取組が、共通して重要な課題となっていると考えます。
課題解決のため、日本が果たす役割を本調査会でも議論を深めて政府に提言することが大事である、と言うことを申し上げ、意見表明といたします。